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 Posted by ミリタリーブログ  at 

初期アフバックパック UM21 PART2



日本の皆様は正月ボケを引きずっている頃かと思いますが、こちらは旧正月休み前の年末でソワソワしている真っ最中です。
例年であれば2週間ほど長期休暇を取って日本に帰って、とても有意義な休みを過ごせるのですが、今年は勿論こちらに缶詰です。
日本でもニュースになっていますが、中国でも各地でオミクロン株が猛威を振るい始めており、市、鎮単位でロックダウンが相次いでいます。
ロックダウンまでいかなくとも、市を超えるのにPCR検査や14日間隔離が必要になる場所も多く、国全体として春節の民族大移動を抑制する動きを取っているようです(昨年も同じでしたが)。
私が赴任している会社の現地社員達の多くも、まだ田舎に帰省するかどうか決めあぐねている様子です。
せいぜい市内しか移動できない状態での10日間の休み、何をしようか悩み中です。
多分毎日映画見てゲームして、テレビ見ながら酒飲んでガンプラ作ってを繰り返して終わりだと思いますが(笑)

前回記事から少し間が空いてしまいましたが、先日入手した初期アフバックパックUM21の事を書いていこうと思います。
前回はたらたら書いていたら長くなり、周辺情報だけで終了しました(苦笑)
初期アフバックパック UM21 PART1

ようやく本体詳細について書いていきます。
メインパックは現在日本の実家に梱包状態で待機中なので、日本に帰れた際に書こうと思います。


今回はパトロールパックとブットパックについて書いておきます。
まずはパトロールパックです。




容量は32リットルのようで、所謂デイパックの類に入るサイズ感です。
ただ、後述しますが構造的に同じ容量の他のバックパックより入る荷物が限られ、無線機やノートPCを運ぶ事に最適化されている印象があります。
たまに「ラジオキャリア」と呼ばれていたりもします。
どこかの掲示板かブログで読んだ記憶では、輸送機からのパラシュート降下の際に背負えるような設計なのだとか。
確かに容量の割には超いかつい肩腰ストラップ、異様な数のストラップが装備されているように感じますので、パラシュート降下のような特殊な環境でも問題なく背負え、中身に異常を来たさないような設計なのかもしれません。
逆に言えば普段の街使いや軽い登山等では全く必要のない性能が含まれている、非常に特殊なバックパックと言えそうです。
ちなみにファステックスは02年製でした。


内側のラベルの数字を見てみると「0204」とあります。


この数字ですが一説では前2桁が西暦下2桁、後ろ2桁が月を表しているそうです。
それでいくとこの個体は02年4月製造となりますね。
ファステックスの製造年との辻褄は合っています。
上記の説の見方で明らかにおかしい数字構成(0013)は見たことが無いので、今のところ私の中ではこの説を覆す情報はありません。
ちなみにメインパック、ブットパックにも同様のタグがあります。
もし西暦+月で矛盾する表記を見つけられた際は、ご一報いただけると嬉しいです。

コンプレッション兼座布団シートが外見上最大の特徴ですね。
私が手に入れた個体はこのシートのMOLLEが一部切断され、更に裏側は塗装?されていました。




このシートは取り外し可能なので、いつか損傷の無いシートを手に入れられたら交換しようと思います。
メインパックと共用ならありがたいのですが。


個人的には外した状態の方がカッコイイと思います。
このシートと本体は5個のファステックス付きストラップによって留められます。
ファステックスを解除しないと本体のファスナーが開けられないので、中身にアクセスする為にはまずファステックスを全て外してシートを外さないといけません。


更にシートと本体の間に何か荷物を挟んでいたらパックを開けて中身を取り出すのは一苦労です。
行軍しながらちょっと中身を、という動作には全く以て向いていません。
シートを装着していない使用例も度々見かけますので、使いづらいと思った隊員も多かったのかもしれませんね。
SEALsのようですが、この隊員はシートを外し、固定するストラップも切り取ってしまっています。


シート使う気完全にゼロということですね(笑)

次に中身を開いてみます。
前後2室に分かれており、後ろ側はポケットとゴムバンドが縫い付けられ、上部にフックがあります。


内側のウレタンコートは臭い、ベタつき等なく状態の良い個体でした。
ちなみに各ストラップをまとめる為のゴムバンドも全数残っており、ちゃんと伸縮性があります。


この手のゴムバンドは無くなっていたりダルダルに伸びきっている事が多いイメージなので、かなりテンション上がりました。
シートが一部切れていたり汚れていたので正直期待していなかったのですが、現物確認したら全体的にかなり綺麗で嬉しい誤算でした。
UM21は生産期間が短く、おそらく最後期の物でも2004年製だと思われます。
どの個体も製造から20年前後経っており、使用、保管状態によってコンディションが大きく違うので入手検討の際には注意が必要だと思います。

前側の部屋には防水素材の仕切りが付いたポケットがあります。


硬めの緩衝材が入っており、外からの衝撃から中身を保護するような構造です。
ちょうど当時のノートPCがすっぽり入るような大きさです。
PRC-148も入ります。
上部にはアンテナ(ないしハイドレーションホース)を出す為のホールも備えられています。


ちなみにこのホールにペットボトルで水をぶっかけてみましたが、中に浸水はしませんでした。
流石に潜水したらダメだと思いますが、ある程度の降水量なら問題なさそうですね。
ただ実際にノートPCやタブレットを入れて使う際は、上からダクトテープを貼った方が無難そうですね。

ホールが映っているわけではないので推測になりますが、おそらく下記はパトロールパックの中にPRC-148が入っており、アンテナとH-250ハンドセットの配線をホールから出していると思われます。


ポケットの更に内側にも薄いものが収納できます。


天面ホールは2つあるので、1ポケットに無線機、もう1ポケットにハイドレーションを入れ、アンテナとPTT配線、ホースをそれぞれのホールから出すという運用想定なのかもですね。
万が一ハイドレーションから水漏れしても、防水仕切りのおかげでパックの中で電子機器が濡れるのを防げます。

反対側にはファステックス式のストラップで内容物がばたつかないよう固定できるようになっています。


この辺りも降下等の激しい行動下での使用を考慮したものなのでしょうか。
このポケットは取り外し可能ですが、脱着部が奥まっていて分かりづらいのでよく「外せない」と言及されている情報を見かけます。
本当に外せない仕様もあったのかも?しれないですが。

2室ともマチが少なく、容量の割に物が入りません。
PRC-148と予備バッテリー等の備品、ハイドレーション、糧食、携帯工具、予備弾薬を詰めたら一杯になりそうです。
日帰り程度の任務であれば十分だったのでしょうか。
中身を詰めて長距離歩いた訳では無いので何とも言えませんが、背負い心地は悪くなくしっかり体に密着保持できるので、徒歩で行動する際キャメルバック等では容量が足りない場合に使われていたのかな?と思いました。
薄さも相まって不意の戦闘になってもひどく邪魔にはならなさそうではあります。

ウエストストラップは取り外し可能です。


ELCSの上から背負う場合はベルトと干渉するので、外せるようになっているのでしょう。
初見では外せない物だと思ってました。
ネットで「取り外し可能」という情報を見て、よく観察したら外せる箇所に気づきましたが、SPEAR特有の死ぬ程硬いMOLLEストラップで、取り外す時に指が千切れるかと思いました。
たまに放出品を扱うファッション店のHP等でこのパックを紹介していて「腰ストラップは着脱不可」と書いてあったりしますが、あまり軍装品に詳しくない人が見たらそう思うのも無理もないと思います。
ネットにUM21の説明書が転がっていたので読みましたが、上記のポケットや腰ストラップの脱着方法の説明は書いてないようです。
斜め読みなのでもしかしたらサラッと書いてあるのを見逃したかもですが、少なくとも写真やイラスト付きでの説明はありませんでした。
まともな説明書も無く複雑な構造なので、まだ他にも私が知らない機能が沢山あるかもしれません。

SPEARフリースにBALCSとELCSを着込んだ状態でも問題無く背負えるようにする為か、各種ストラップは異常に長めです。


この辺り、いかにも軍用な感じで嫌いじゃないです。
正直バックパックとしての汎用性は低いとは思いますが、実際にアフガニスタンで行動していた特殊部隊が背負っていたので、一定の使い出はあったのではないかなと思います。






座布団と腰ベルトを外せば、3Cと黒ストラップという軍装品としてはスタイリッシュな柄構成も相まって普段使いでも何とかなりそうですね。
防水緩衝ポケットはPCやタブレットを持ち歩く際には安心感があります。
キャンプでの電子機器運搬や夏フェスのお供なんかに最適かもしれないですね。
知っている人が見たら「おっ!」となる事請け合いでしょうし、日本に持ち帰ったらたまに背負って出かけようかなと思います。
背面にMOLLEがあるので、小ポーチを付けたりパッチベースを付けて好きなパッチを貼るのもいいかもですね。

では、次にブットパックを見ていきます。


これはGREGORYのラベルが貼ってある個体をよく見かけますよね。


外側ラベル付きは民間流通品らしいので、軍用装備をされる際は使わない方が無難だと思います。

体に当たる側には硬い板が内蔵されていて、何を入れても体には常に面でフィットするようになっています。
外側のストラップを絞れば圧縮して中身がバタつくのを防げます。
中身は特に仕切り等なく、一部屋です。


外側にも小さいポケットがあります。


IRパッチを貼り付けられるベルクロがあるのも、これまたいかにも軍用ですね。


正直そこまで特別な感じはなく、所謂官給ブットパックと同等の使い勝手だと思います。
唯一特徴的なのは収納式のウエストベルトで、これを使えば単体でも使用可能なのですが、単体使いの使用例を見たことがありません。
というかこのブットパック自体使用例が少ない印象です。
直ぐに思いつくのは下記2画像くらいです。


これはよく見かける写真だと思いますが、後方にパトロールパックが置いてあり、その背面MOLLEにブットパックが取り付けられています。

もう1枚は下記です。


ELCSの背面パネルに着けて使用しているようです。
他にもちょこちょこバックパックの背面にくっついているとは思いますが、意識して見ていなかったので記憶がありません。
今度注目しながらまた数百枚の初期アフ写真を順々にチェックしていこうと思います。
何十回もじっくり見た写真でも、意識する内容によってまた新たな発見があるのがミリフォトの楽しいところですよね。

ウッドランド、3C共に民官品両者結構な頻度で国内オークションサイトで見かけますが、相場のお金を出してまで手に入れるのは余程初期アフに傾倒していないと満足感は得られないと思います。
使用例や使い勝手を鑑みると、初期アフ装備としての調達優先順位はかなり低いと思います。

私が手に入れた個体のファステックスは99年製でした。


内側のラベルは0003=2000年3月と思われます。


この個体はパトロールパックと違い、梱包を開けた途端特有のウレタン加水分解臭が鼻をつきました。
多少ベタツキもあります。
旧正月休みに「重曹ぬるま湯漬けの刑」に処したいと思います。
関連過去記事:「劣化した防水コートの除去

メインパックと全部並べて眺められる日が待ち遠しいです。
3C SPEARは既にBALCSは持っていますので、あとはELCSを入手すれば「初期アフ三種の神器(3C)」コンプリートとなります。
正統派の2001年5th装備には不可欠ですので、初期アフファンとしては避けては通れぬアイテムですね。
焦らずじっくり入手のチャンスを待とうと思います。

お読みいただきありがとうございました。  


2022年01月13日 Posted by 4039  at 13:43Comments(0)装備

初期アフバックパック UM21 PART1



先日始めたジャングル遭難ゲーム「GREEN HELL」ですが、無事にグッドエンド&バッドエンド両方を見る事ができました。






グッドエンドよりむしろバッドエンドの方が「なるほどそういう事か!」と、思わず鳥肌が立つ結末で良かったです。
なんかクリストファー・ノーラン映画みたいでした。
グッドエンドはクライマックスでちょっとB級映画っぽい強引な展開になってしまったのがイマイチでした。
私はPS4で遊びましたが、PC版はストーリー前日譚を遊べる追加コンテンツが配信済ですので、PS4版にもアップデートが来る日を楽しみに待ちたいと思います。
それまではワニ倒したり人肉食ったりして、のんびりトロフィーでも解除していこうと思います。

では本編に入ります。
最近中華スポンジダーツガンにばかりうつつを抜かしておりましたが、本業(?)である初期アフ関連で永く入手のチャンスを狙っていた大物アイテムが入手できましたので記事にしておきます。

個人的に「初期アフODA三種の神器」と呼んでいるアイテムがあります。
90年代後半に各米軍特殊部隊に採用されたSPEARを代表するシステムである「BALCS」「ELCS」「UM21」です。


BALCSは初期アフ時代の米軍特殊部隊の超使いづらい花形アーマーとして有名ですね。


ELCSもMOLLEを全面に配置し、パネル換装によって柔軟な運用を実現した中途半端という文字を具現化したような画期的なロードキャリングシステムですね。


そしてUM21ですが、かのGREGORYとBIANCHIが共同で開発したバックパックシステムです。


UM21のUMは「Universal Military」で、21はなんと「21st Century」の21のようです(説明書に記載あり)。
「21世紀の汎用軍用バックパックシステム」といったところでしょうか。
21世紀って言っちゃうところが20世紀末感出まくりでいいですね(笑)
UM21は大中小の3パック構成のシステムです。
大が正式名称は「Back Pack」ですが、よく「メインパック」と呼ばれている認識です。


中が今回入手したパトロールパック


小も今回同時に手に入れたブットパックで、ウエストパックともよく呼ばれているものです


実は3Cメインパックも先月日本のオークションサイトで入手済で、現在実家の物置で私に開梱されるのを待っている状態です。
パトロールパックは特徴的なコンプレッションパネル兼座シートパネルの外見から「座布団付きリュック」と揶揄されたりもしますが、UM21全体としては世間的には概ね高評価という印象です。
「バックパック界のロールスロイス」と言われるGREGORY製品の名に恥じないバックパックという評価が一般的なようですね。
私は登山用バックパックについて造詣が深くありませんので詳しくは理解できていませんが、所謂「フルオプション、全部乗せ」の大変贅沢な仕様だそうです。

ここで良い機会ですので、SPEAR、BALCS、ELCS、UM21の言葉の関係性をちゃんと整理してみました。
SPEARは「Special Operations Forces Equipment Advanced Requirements」の略称で、日本語に訳すと「特殊作戦部隊先進装備要件」といったところでしょうか。
要するに「特殊部隊用に新開発する装備に必要な条件をまとめた概要」というイメージで合っていると思います。
そのSPEARの中の1項目として、BALCS(Body Armor/Load Carriage System)が存在します。
そしてそのBALCSのサブシステムとしてELCS(Equipment Load Carrying Subsystem)とBack Pack Subsystem=UM21が存在するという関係性になっています。
SPEARという装備システムの下にBALCS、ELCS、UM21が並列に存在、という関係では無いんですね。

なので、本当はボディーアーマーはBALCSではなく、BALCSのメインシステムであるSPEAR Body Armorと呼称しないと正確とは言えませんね。
正確には「BALCS=初期アフODA三種の神器」という事になりますね。
ただ、日本では一般的にBALCS=SPEAR Body Armor単体を指し、SPEARはSPEAR Body Armor、ELCS、UM21やLEP(フリースジャケット等の防寒重ね着システム)あたりの総称を指す認識ですので、今後も当ブログでは基本的にその認識のもとに記載します。
あと、実はMICH(Modular Integrated Communications Helmet)もSPEARの一環だった?ようですね。
でも一般的にSPEARと言った時にMICHは含まれていないと思いますので、なんともややこしい話ですね(苦笑)

SPEAR(上記の通り、正確にはBALCSを指してます)はウッドランド仕様と3C仕様が存在し、初期アフでは両者投入されていましたので、実際は三種の神器は×2で六種の神器を集めないと真のコンプリートにはなりません。
私の今までの考察から鑑みるに、2000年代初頭にアフガンに投入されたグリーンベレーで3Cを装備していた部隊は3rd、5th SFGで、ウッドランドを装備していた部隊は7th、19th、20thという認識です。

3rd隊員(2002年夏)


5th隊員(2001年11月頃?)



7th隊員(おそらく2002年)


19th隊員(2002年)


20th隊員(多分2003年)




おそらく各SFGの担当地域の植生に合わせたカラーが支給されていたのだと考えています。

SNS等で上がっているサバゲ参加写真等で漠然と「初期アフ装備した写真」というのを拝見すると、大体19thか20th SFGあたりの装備を再現されたであろう方が多い印象です。
具体的な構成でいうと、ウッドランドのBALCS(正確にはSPEAR Body Armorです)に56式弾帯一丁引っ掛けた装備ですね。
BALCSをレプで補えばかなり安上りかつ入手しやすく、入門的な構成ですね(小物をしっかりしようとすると実はそんなに簡単ではないですが)。


たまに3CのBALCS+56式弾帯の方も見かけますが、こちらは2002年の3rd隊員をイメージしたのかもしれませんね。


3C BALCS+56式弾帯はいざ探してみると意外と使用例が見つからず、ざざっとミリフォトフォルダを漁る限りではこんなのしか見つかりませんでした。

個人的な印象では、「初期アフ」の後ろにちゃんと「SEALs」や「CIA」や「5thのODA」等、より具体的な設定まで詰めている方の装備は隙が無いというか、総合的に完成度が高いなと思う事が非常に多いです。
上記のSPEARの色もそうですが、その部隊しか使用例が無いアイコニックなアイテムをあしらって説得力を増していたり等、細部まで見ごたえがある場合が多いですよね。
SEALsが使っていたORのレギンスやナルゲンボトルケース等は良い例でしょうか。


無論ミリフォトが全てではないので他の部隊も使用していた可能性も十分ありますが、ミリフォトが重要な情報資源である事は揺るぎない事実ですので、「有名なあの写真のあの装備」というのは、ファンの共通認識として装備の説得力を感じさせる大きな要素になると思います。
他の時代、部隊でもそうですが、「いつのどの部隊でどんなシチュエーションか」を意識して装備を組むとピントがクッキリするというか、独り善がりでなく第三者が見ても納得の装備になると思います。
だから部隊は勿論、撮影時期まで判明しているミリフォトは殊の外貴重なんですよね。

気づいたら長ーい前置きになってしまいましたが、やっと本題のUM21の詳細を見ていこうと思います。
と思ったのですが、ここからまたツラツラ書いていくといくらスクロールしても終わらない記事になってしまいそうなので、今回はここで一旦終わりにします(笑)

お読みいただきありがとうございました。  


2021年12月25日 Posted by 4039  at 13:05Comments(0)装備

56式弾帯カスタム 初期アフ風味



このブログをご覧になる方であれば必ず見た事があるであろう、56式弾帯について書きます。
中国軍が56式自動歩槍とセットで採用したチェストリグですね。


ちなみに中国語では56式弾袋や56式胸挂袋、56冲携行具みたいな感じで、色々な呼び方をされているようです。
「沖(チョン)」は「激しい」や「猛烈な」という意味の形容詞なので、「アサルト」的な意味合いだと思います。
逆に日本で馴染みのある「56式弾帯」と記載されているところは私は見たことが無いです。
「袋」が中国語発音で「ダイ」、「帯」も「ダイ」で、四声(中国語のイントネーション)も全く同じなので、中国語で「56式弾袋」と聞いた日本人が「袋」を「帯」と取り違えて日本で広めたのかもしれませんね。
ミリタリー仲間が集まった時のトリビアとしていかがでしょうか?

袋だろうが帯だろうが発音は同じなので、中国人のミリオタには「ウーリィウシューダンダイ」と言えば通じるはずです。
イントネーション間違っていると、「はぁ?」と聞き返される可能性大ですが(苦笑)
余談ですが、地方柄はあるかもしれませんが、私の居る広東省の人は聞き返す時に、日本人同士だったらケンカ売ってるのかと言うレベルで顔をしかめてor真顔で「はぁ?」と聞き返してきます。
当然ケンカ売る気なんてゼロで、「ごめんなさい、今聞き取れなかった」という意思表示です。
すごく礼儀正しい部下でも親切な店員でも、聞き返す時は冷徹に「はぁ?」と言って来るので、慣れるまでは毎回胸を抉られる思いをしました(笑)

本題に戻ります。
数字の通り1956年(多分)に採用された旧い装備ですが、膨大な数が輸出されたようで、ベトナム戦争や各種紛争地、2000年代に入っても各地で使用が確認されている息の長い装備ですね。
初期アフ時期の米軍特殊部隊も多く使用していたのは有名ですよね。






当時米軍が開発した最新ギアを差し置いて、何故50年近くも前のアジア製のコットン装具が愛用されたのでしょうか。
個人的には下記が他のギアに比べて56式が優れている点だと考えています。
1.軽量で着脱が簡単
2.必要十分な物を集約して携行出来た
3.胸部前面に汎用性の高いポーチが配置されている。
4.無くしても壊してもお咎め無し(?)

今もそうですが、米国製等の多くのギアはファステックス等のバックル類で着脱する部分がありますよね。


ただ、ファステックスは1.5インチくらいの小型のファステックスだと、グローブをしていると意外と外しづらいですよね。
加えて、割れたりして破損してしまうと機能を失ってしまい、補修するにはストラップの縫ってある部分を解いて新品に交換し縫い直さなくてはいけません。
その点56式は、ただ上から被って肩に紐を引っ掛けるだけで装着完了です。
背中に回す紐は料理用エプロンと同じように結ぶだけです(笑)

縫い目や生地の耐久性は一流ギアメーカーの物に比べれば脆いですが、一朝一夕で簡単に壊れるものではありません。
無論ポーチ配置は固定ですが汎用性はそこそこ高いですし、56式では不便する場合は違うギアを選択すればいいだけの話ですね。

あとは胸部前面に大型のポケットが来るギアが、米軍装備では意外と少なかったのもあるのかなと考えています。
BHIのコマンドチェストやTAC-TのMAV 1P等は56式の上位互換ギアと言えそうですが、大々的に投入されている印象は無く、一部の隊員しか持っていなかったのかなと思います。




米軍官給品だとSDS製RACKあたりがメジャーでしょうか。


ただRANGER向けの装備なので、グリーンベレーではほぼ使用例を見かけた事はありません。
下写真は2003年の20th SFGの隊員ですが、この方が着ているRACKはBHI製のようで官給品というわけではなさそうです。


SDS RACKは初期アフの頃は黒ファス仕様と呼ばれる旧型で、現状ではあまり見かけません。
BHI製は更にレアな印象です。
更に上を行くパラク製RACKはお宝レベルですね。

56式は現地に溢れていたと想像され、本国からわざわざTAC-TやBHI製ギアの輸送を待たずにすぐに調達できて便利だったのかもしれませんね。
壊れてもすぐに安価で新しい物が手に入ったでしょうし、自腹で調達すれば壊したり失くしてもいちいち報告しなくてよかったのかもしれないですね。

2001~3年頃の初期アフグリーンベレーであれば、ELCS、TLBV、LC-2のYサス+ベルトあたりが官給装備として持ち込まれた代表的なギアだと思われます。






どの装備も前開きで、基本的に腰周りに携行品を集中させる設計です。
これはハンビーや民間車両等での移動の際に不便だったと思います。
乗り降りの際に引っかかったり、座席との干渉もあったと思いますので、いちいち着脱が必要だったかもしれませんね。
サバゲ場でセーフティーの座席に座る時も厄介ですよね。
対して56式は胴体前面にしか積載物が来ないので、引っかかったり座る際に干渉したりしないです。
この辺りが最新ギアを差し置いて56式が多用されていた理由なのかなと、当時のギアを色々収集して実際に着用してみて感じた私の見解です。
PRC-148がデフォルトでシンデレラフィットするのも都合がよかったのかもしれないですね。
あとは現地の兵士と同じ装備をすることで、偽装効果や現地部隊との一体感を高める狙いもあったかもしれません。



しかし、56式そのままでは不便に感じた隊員もいたようで、カスタムされた個体も時々見かけます。
上写真隊員は一番左のグレネードポーチを撤去し、おそらくTAC-Tの3連マガジンポーチを縫い付けているように見えます。


他の装具はレッグホルスターとOTVだけでシンプルですね。
これなら車両に乗る際も楽そうです。

下写真の右の隊員はマガジンポーチのフラップを裏側に翻しているか、もしくは切除していると思われます。


1つのポケットにM4マガジンを2本入れるとかなりギチギチになるので、フラップが無くても落ちたりはしなかったんですかね。
ただし1本抜くともう一本は前かがみになるとスルっといっちゃいそうですが、どうしたんでしょうね(苦笑)
左と右のポーチ前面になにやら黒い物体が付いていますが、ピストルマガジンポーチを縫い付けているのかな?と思われます。

これは同じ56式でも56式半自動歩槍(SKS)の方のチェストですが、フラップを木のボタンからドットボタンに変更していますね。


膨らみ方から見るに、40mmグレネード弾でも入っているんですかね?

56式自動歩槍の弾帯でも同じようなカスタム事例を見かけますね。
これを真似て私も63式チェストをドットボタンカスタムしてみました。




56式半自動歩槍チェストも手に入るのですがサバゲで使い道がないので、M4やAKマガジン、無線機が携行出来る63式でやってみました。
ボタン本体と簡単なカシメ道具さえあれば、ドットボタンカスタムは子供でも手軽にできます。




10分程度の作業で使い勝手向上しますので、おススメなカスタムだと思います。
ちなみに63式チェストは800円くらい、ドットボタンは100個以上セットで300円くらいでした。
流石と言いますか、こういう物は中国は異常に安いですね。
中華チェストが爆安でよりどりみどりだったので、気づいたら一気に増殖していました(笑)


全部合わせて3000円いくかいかないかくらいでした。

中華チェストは生地も糸も切りやすく針も通り易いので、現地で隊員個人でチクチクとカスタムしていたんだろうなと想像しています。
そんな中、ひと際私の心に刺さった56式カスタムを見つけました。


お茶を汲んで回っている心温まるアフガン少年の写真ですね。
ほっこりしながら上の方を見てみると、コップを持ったODA隊員と思われる方の姿があります。
彼の56式ですが、よく見るとフラップが興味深いです。


ベルクロ式に変えているようですが、ポーチ前面とフラップ前面にメスを縫い付け、両者に跨るようにオスの帯を貼っているようです。
普通にポーチ前面にメス、フラップ裏側にオスを縫い付けた方がスマートなのに、なんでわざわざこんな形式にしたんでしょうかね?
ただちょっと変わったセンスの持ち主だったのか?PRC-148のようなAKマガジンより長い物を入れてもフラップが閉じられるように調整幅の大きい構造にしたのか?想像が膨らむカスタムですね。
普通に考えたらこの縫い方は思いつかない感じが非常に面白かったので、56式チェストを調達して再現してみました。








56式チェストも流石は産地直送と言いますか、新品デッドストック品が800円程度でわんさか売ってます。
程度の悪い物であれば送料込みで200円で売ってます。
儲かる気あるんでしょうかね?(笑)
拘りとしては中国製のどこの馬の骨とも分からぬパイル&フックではなく、ちゃんと正品の「ベルクロ」を調達しました。
縫い付けは現場にミシンは無かったでしょうし、両面テープやダクトテープでは流石に固定力に不安が残るので、手縫いで仕上げました。
以前入手した隊員カスタムBALCSもぐちゃぐちゃの縫い目で、おそらく隊員本人か、もしくは村の少年少女に小遣いでも渡して縫わせたのかと想像させるようなハンドメイド感たっぷりの縫い目でした。




その辺りをオマージュして縫い針と黒い糸で手作業で荒々しく縫い付けました
黒いベルクロに黒い糸だと、縫い目が見えないのでどんなに粗くてもまったく気にならないです。
作業のコツなんてものは皆無で、ビール片手にテレビを見ながらひたすらチクチク縫いました(笑)
唯一ちょっと工夫というか注意が必要だったのは、ポーチ側の生地は防水生地が張られていて比較的分厚く、針が通りにくかったです。
太い針よりも程よく細い針の方がスッと入って楽だったので、もし56式を手縫いカスタムされる方は針を複数種用意して、丁度良い太さを探すといいと思います。

時間はそれなりに掛かりましたが金は掛からず、見た目もそれらしくでき満足度は高いです。
ベルクロが余ったので、蛇足と思いつつももうひと加工してみました。
PRC-148を携行する際マガジンポーチに入れてしまうと、マガジン携行数が減ってしまいます。
M4の場合だと4本、AKだと2本しか持てなくなります。
サバゲではちょっと不足気味ですので、グレネードポーチをいじってラジオ収納にしました。


グレネードポーチの底を切り抜き、そこにベルクロをわっか状に通して底を延長してみました。
実戦投入して見ないと分かりませんが、重たいTCA148を入れて試着する限りでは特に問題なさそうです。
ちなみにTCA148は旧型アンテナレプを装備しました。


PRC148はTNCという規格のアンテナが適合し、TCA148も同規格です。
このTNC規格の旧型アンテナのレプリカが1500円くらいで売っていたので買って着けてみましたが、ちゃんと機能しました。


本物と同じ文言かはわかりませんが実物と同じ位置に刻印も入っていますし、日本でも3000~4000円くらいでよく見かけるので、実物取り付け部を再現している旧型アンテナレプとしておススメだと思います。
がらんどうレプのアンテナよりコシがあっていい感じです。
あとは液晶画面のBB防弾対策も施しました。


1.5mmのポリカーボネート板を液晶部の窓枠の形に切り出しはめ込みました。
ほんの少しだけ圧入気味にしたことで、普通に使っていて外れることは無く、外したい時は針等で刺して引っ掛ければ簡単に外せます。
ポリカ板は安いので、傷付いたらまた作り直せばいいだけですね。
ハサミと紙やすりがあればすぐに出来ます。
これで絶対大丈夫かは試していないので不明ですが、何もないよりは格段に防弾性は上がっていると思います。

一応下記写真のように、無加工のグレネードポーチに強引にPRC-148をぶち込んでいる実例もありますが(もしかしたら本体は腰で、見えてるのは延長アンテナとヘッドセットだけかも?)、BALCS等の硬めの物を下に着こんでいないと安定しなさそうですし、普通に邪魔じゃないかなと思います(苦笑)


少なくともサバゲのような動きをする上ではかなり邪魔になりそうですね。
ついでにガーミンのGPS38やBHI風3dayパック等の小物も揃えてみました(3Dパックはまさかの1200円!)。


全て中国現地調達した物でそれなりの初期アフ装備ができそうです。
ちゃっかり付けヒゲも調達したので(笑)、今度暇な時に全部装着して装備記事書いてみようと思います。

お読みいただきありがとうございました。  


2021年11月02日 Posted by 4039  at 20:53Comments(0)装備

TCA PRC-148起動!



前回まで記事にした各種加工によって、アンテナを付けてあらゆる操作をしても電波が発射されなくなった事を確認できましたので、ついに起動してみました。
前回までの記事
TCA PRC-148可動レプリカ
TCA PRC-148可動レプリカ 受信専用加工続き
TCA PRC-148可動レプリカ 受信専用加工 ファイナル

立ち上げ画面は下のネット画像で見るようにデカデカとTCAのロゴが出ると思っていたのですが、私の持っている個体はトップ画像のようにTHALESのロゴが出てきました。


ちなみに上画像TCAロゴ立ち上げの個体は2019年に入手したもののようです。
私の個体は説明書の日付が2020年1月と書いてあったので、それ以降に造られたものだと思われます。
なので現在の仕様はTHALESロゴなのかもしれません。
もしくは輸出先の国によって変えてたりしてるかもですね。

オプションで供給電圧の表示か、自分で設定した英数字のメッセージを出す事も可能です(「4039RADIO」みたいな感じで起動時にメッセ―ジ表示が可能)。

ドンガラでも十分幸せでしたが、画面が付くとさらに幸福度が数段上がりますね。
本当に素晴らしいおもちゃだと思います。

苦労してせっかく受信専用機にしたので、最低限の操作は会得しようと思います。
下記操作についてはマスターしました。
・FM放送受信、周波数設定
・各特小無線周波数のチャンネル設定、チャンネル操作

これでFMラジオ、及びサバゲ等で無線の受信は可能になります。
付属の説明書は当初ほぼ読む気が無かったので、それなりにちゃんと書いてあるのだと思っていましたが、いざ操作をしようとちゃんと読んでみると全く説明が足りず、役立たずでした(苦笑)


世界には同じように思った親切な人がいるもので「説明書がhot garbageなんで、ここで操作方法まとめとくわ」と記事を残してくれた偉大な先人がいらっしゃいました。
https://www.m4carbine.net/showthread.php?189953-PRC-148-Radio-First-Impressions-and-Initial-Setup-and-Follow-on-Setup-on-Chest-Rig/page24

感謝感激ですね!
あと同じTCA社製のPRC-152について、各モードの詳細を解説をしてくれているサイトも見つけました。
https://mundoairsofter.com/en/2019/12/tca-prc-152a-configuration/

148とは色々と違う箇所がありますが、148に付いてきた説明書の数倍有用です。
この辺りの情報を読み合わせながら、FMラジオ&特小無線受信機としての運用方法を書いてみようと思います。
もしTCA製のPRCを検討されている方がいらっしゃれば、参考にしていただければと思います。

まずは画面の見方とパネルの各キーの説明をしておきます。
下画面が電源を入れ、ロゴ表示の後に出てくる「トップ画面」です。


左の電池マーク:電池残量です。
上段周波数(ICOM0117):選択されているチャンネルです。GRキーを押すと登録されたチャンネルでは無く、個別に設定されている送受信周波数に切り替わります
下段周波数(403.9000):もう一つ設定されている送受信周波数です
右上の□に点4つマーク:このマークがある段の周波数が現在アクティブです。側面のキーで上下段を切り替えできます。
PT FM:飾りだと思います。実物はPTが付いていると暗号化モード、FMも何かのモード操作中を示しているようです。大抵のダミーもこの表示が描いてありますね。
ヘッドフォンマーク:コネクタにスピーカーマイクを繋げると音声出力がそちらに切り替わり、右上にヘッドフォンのマークが出ます。
あとは設定によっては画面下部にDCSとかの文字が出てきますが、あっても無くても今回の運用においてはさほど意味はないと思います。

次にキーの説明です。
MODE:トップ画面で押すと各種オプションメニュー一覧を開きます
GR:トップ画面で押すと上段の周波数と設定したチャンネルのアクティブ切り替え。長押しすると受信できる電波をスキャンします。ちなみに周波数とチャンネルの切り替えは上段でしかできません。
ESC:メニューのキャンセルや、各画面からトップ画面に戻るキーです。長押しするとキーロックON/OFF。
上下キー:各種設定時の選択に使います。
ENTキー:各種設定時の決定キー。トップ画面で長押しで周波数設定画面へ移動。
ALTキー:長押しでFMラジオモードに切替え。数値やメッセージ設定時の桁送り。

全部は説明し切れてないと思いますが、上記が頭に入っていればFMラジオ及び特小無線を受信する操作は十分できるようになります。

次に側面キーです。


上から1、2番目の小さいキー:上下段の周波数どちらをアクティブにするか選びます。設定を変えるとボリューム調整キーになる?ようです。
中央長方形のキー:PTTスイッチです。私の個体は内部基盤を破壊してあるのでただの飾りと化しています。
一番下のキー:モニターキーです。押すと「ザー」と鳴りますがイマイチ用途が分かりません。他のボタンと同時押しで工場出荷状態に戻す時に使います。

ちなみにPTTを殺す為に側面のキー基盤丸ごと断線すると、上下段の周波数切り替えは出来なくなります(下段が使えなくなる)。
特に問題は無いですが、何か使い切れていない感じがして気持ち悪いですね。

最後に天面です。


左のダイヤル:電源ON/OFFスイッチ兼ボリューム調整用です。一番左に回しきると電源が切れます。
真ん中のダイヤル:チャンネル切り替えダイヤルです。クリックして回り、全部で16段あります。
あとはダミーをお持ちの方なら分かるように、アンテナベースと外部6PINコネクタです。

では、まずはFMラジオ運用です。
これはゴミ説明書にもさすがに操作方法が明記されていました。
「ALT」キーを長押しするとFMモードに入り、画面に受信周波数が表示され、スピーカーから受信音声が出力されます。


上下キーを押すと0.1MHzずつ周波数を調整できます。
長押しすると1.0MHzずつ高速で送ります。
スキャン機能はFMモードでは使えないようなので、受信周波数は自力で探す必要があります。
こちらのFMラジオの番組表は見つからなかったので適当に周波数を変えていると、ザーという音からかすかに中国語の歌が聞こえてきました。
「おおっ」と思い窓際に行ってみるとクリアに音が出てきました。
前回行った加工を施してもFM電波、及び他の周波数も受信できることを確認しました。
ちなみにアンテナをTRI製の長ーいブレードアンテナに換えてみたら、さらにクリアに拾いました。


アンテナが飾りじゃなくてちゃんと機能するのを実感し、何か感動しました。
普通のFMラジオでも、アンテナ延ばせば聞こえやすくなるなんて当たり前なんですけどね(笑)
TCA148付属のホイップアンテナは、残念ながら初期アフ時ではおそらくオーパーツで見かけない仕様なので、実物旧型を狙いたいところです。
付属のアンテナ


旧型アンテナ


おそらくですが実物アンテナも機能すると思います。
ハンドセットを繋ぐとハンドセットからの音声に切り替わります。


受信機化加工でマイクとPTT配線は切ってありますが、スピーカーはちゃんと生きていました。
以上でFMラジオの操作周りはOKです。
説明書を見ずに直感で操作しても問題ないレベルの単純さですね。


次に無線受信です。
チャンネル登録をせず、周波数を毎回設定して受信するだけなら非常に簡単です。
トップ画面でENTキーを長押しすると、下の画面に移動します。


これが周波数設定画面です。
一番上の「RX」が囲われている状態でENTキーを押します(RXはReceiverの略、つまり受信周波数です)。
ENTキーを押すと文字が反転します。


この状態で上下キーを押すと、1プッシュ毎に設定したステップ(何kHz飛びかの設定)で周波数が増減します。
1ステップ何kHzかはオプションの「STEP」で設定できます。
特小周波数を設定する場合は2.50がおススメです。


ただし、この方法だと例えば数百MHz動かそうと思うと、この操作では非常に時間が掛かってしまいます。
そこで、ENTキーを押して反転したら、次にALTキーを押します。
すると一番左の数値が点滅しはじめます。


この状態で上下キーを押すと、その桁の数値が0~9まで順に変わります。
狙いの数値に合わせたらALTキーを押すとひとつ右の桁の設定に移ります。
これの繰り返しで数値を決定していきますが、最後の2桁はこの操作では決定できません。
この2桁については最初の操作法の上下キーで数値上限で合わせる必要があります。

RXの下のTXは送信周波数なので、受信専用機に改造したこの148には無用です。
設定方法自体はRXと同じです。

その下のON/OFFや数値は気にしないでも大丈夫?だと思います。
SQLはスケルチといって、ノイズフィルタの強さの設定みたいな感じです。
POWは送信出力です。送信不可能なのでどの数字でもいいですが、万が一を考えて一応最小の0.1にしておきました。

設定を終えたらESCキーを押してトップ画面に戻り、アクティブな周波数が設定した数値に変わっていれば完了です。


他の無線機等からこの周波数で発信された電波を受信すると、スピーカーから音声が出てきます。

これでこの無線機が対応するどの周波数でも受信できるようになりますが、サバゲ等で特小無線を受信運用する上では少々不便です。
特小無線を使った事がある方なら分かると思いますが、「〇〇MHz」等周波数を合わせるのではなく、「〇〇ch」というチャンネルを選択しますよね。
各チャンネルは決まった周波数が登録されており、ネットを調べれば各社のチャンネルと周波数の対応表がすぐ出てきます。


サバゲの定例会やイベント等では、その日の朝に「赤チームは〇ch、黄色チームは〇chでお願いします。」といった感じでチャンネルを決める事が多いと思います。
逐一上記の対応表を見ながら周波数を合わせてもまあいいのですが、ゲーム開始まで時間が少なかったり、仲間内だけで使うチャンネルを別途準備しておいて、状況に合わせて即座にチャンネル変更が必要な場合もあると思います。
そうなるといちいち周波数を設定するのは不便ですよね。

TCA148には予めチャンネルを設定できる機能がありますので、これを使わない手はありませんね。
冒頭に説明しましたが、本体上部中央のダイヤルがチャンネル切り替え装置です。


16段階クリックし、1~16ch割り当てできます。
さらにオプションの「ZONE」設定が1~8まで変更でき、各ZONEで16ch設定が出来るので、計8×16=128chの設定が可能です。


この辺りの詳細は説明書に記載が全く無く、仕組みが理解できるまで何時間も弄り回していました(苦笑)

チャンネルの設定方法を書いていきます。
今回はICOMの特小チャンネル1~20chまで設定してみました。
まずは1chの設定です。
1.トップ画面にします。
2.本体上部のノブを反時計回りに回らなくなるまで回します。
3.側面の一番上のキーを押し、上段をアクティブにします。
4.GRキーを押し、チャンネル表示にします(下画面ではICOM0117)


この状態で、先ほど書いた周波数設定を行います。


今回はICOMの1chである422.05MHzに設定しました(他社も基本同じチャンネル周波数設定です)。
ESCキーを押してトップに戻ります。
これで近隣の誰かがICOMの1chで発信をしたら、この148は受信してスピーカーから声が聞こえてきます。

これで一応チャンネル登録OKなのですが、せっかくチャンネル名を編集する機能が付いているので設定しましょう。
オプションの「CHANNEL」をONにして、同じくオプションの「NAME」でチャンネル名を編集設定できます。


NAMEを押すと、現在選択しているチャンネルの名称を0~9、A~Zまでの8文字で設定できます。
文字の入力方法は周波数設定と同じで、ALTキーを押して左から1文字ずつ動かし、上下キーで文字を選択していきます。


私はこのチャンネルを「ICOM0117」と設定しました。
残念ながらチャンネル名は16個しか割り振る事ができず、ZONEを切り替えても周波数は変わりますがチャンネル名称はZONEごとに共通です。
ICOM特小は20chありますので、ZONE1では1~16chまでしか登録できません。
なのでZONE2の1を17ch、2を18ch、3を19ch、4を20chで割り当てました。
1~4までは2チャンネル分共通名称なので、「ICOMの1ch(ZONE1時)と17ch(ZONE2時)」という意味で「ICOM0117」と設定しました。
これで1chは完了です。

本体上面のノブを1クリック時計回りに回し、同じ要領で周波数と名称を編集します。
チャンネル名称は上記と同じ法則で「ICOM0218」としました。

こんな感じで16chまで完了させます。
17ch以降はオプションの「ZONE」で1~2に切り替え、反時計回りで回らなくなるまでノブを回した位置から17chから順に設定します。
これで数秒の操作で即座にICOM特小の1~20chに合わせられるようになりました。

他にも色々と設定できる機能はありますが、発信出来ないと無用だったり、些細な機能だったり、効果がよく分からないものばかりなので割愛します。

上面のダイヤルで電源を入れてボリュームを調整し、チャンネルを合わせてラジオポーチに収めるという動作は、特小を仕込んでいるダミーでは中々実現できない楽しさだと思います。
2000年代ODA御用達のTAC-T製のような、筐体の露出が多いポーチに入れる場合も見栄えしていいですね。


液晶以外はBB弾が直撃してもなんともない強度は持っていると思います。
液晶を外側に向けるなら、アクリル板などで防弾対策が必須だと思います。

永らくただの飾りだった特小未対応のRACALアーバンも、ようやく日の目を見る事ができそうです。


THALESのハンドマイクも特小未対応実物を持っていますので、2000年代中盤ODA装備であればこれにイヤホン挿して使うのもいいですね。


実コネで特小対応に加工済のヘッドセットも使えると尚ありがたいのですが、こちらでは入手不可能ですので、帰国した際に検証してみようと思います。

148ダミーの裏蓋を開けて特小無線をぶち込んで使った方が、見た目ほぼ同じで送信できて運用上は間違いなく優秀ですが、「148を直接操作して遊べる」というのは、人によってはそれを補って余りある満足度を提供してくれると思います。
夕方や暗所でバックライトを光らせたら映えそうですしね。
装備着て写真を撮る方には新たな撮影レパートリーが生まれると思います。

法を犯さず特小電波の送信も出来たら最高だなとは思います。
ただ、数年前にTRI製の152を某業者が特小無線として認証を通して販売したのですが、実は対策不十分で却下され、既に買ってしまった人がもし電源を入れたら法律違反になってしまうという騒ぎがあったようです。
不十分だった原因や却下された経緯は私はよく分かっていませんが、「特小はアンテナが付け替えできてはいけない」という条件があるにも係わらず、一旦認証が通った152は簡単にアンテナ付け替え可能だった事が原因のようです。

「特小無線はあんな小さい筐体で作れるんだから、148や152みたいなデカい図体で特小作るのなんて簡単じゃん」と思いますが、技術的には出来ても、法的な手続きや制限の絡みで商売的には旨味がないからいつまで待っても世に出て来ないのかもしれませんね。
ただ、中に特小を仕込んで、ダイヤルをジョイントで繋いで、キー位置を合わせるような構造のダミーを作れば、ダイヤルでスイッチ&ボリューム操作、正面パネルでch設定などのボタン操作が出来るダミーは比較的安価に作れそうな気はするのですが、それはそれで中途半端で売れる見込みないんですかね(苦笑)
もしアルミで筐体作っちゃったら、中の特小の電波がめっちゃ遮断されちゃうでしょうしね(笑)
(アンテナを変更する等、特小無線機を加工したらその時点で違法みたいです)

アメリカ等の無線免許の仕組みは包括免許制といって、免許さえ持っていれば無線機の認証は不要で、免許で許可されている範囲であれば自由に電波を発射していいそうです。
つまり講習等を受講して試験にパスして免許を取得すれば、このような実動PRCも即時自由に使えるようになるようです。
羨ましいですね!
この界隈の情況や各種背景は全くの無知なので、法律が改正される希望があるのか無いのかすら分かりませんが、そうなる日が来るといいなあと夢は持ち続けようと思います(笑)
まあ今後は特小無線ではなく、BLEやネット回線を利用したトランシーバーに取って変わってくる可能性もありそうですし、サバゲ用無線がどう進化していくか?楽しみですね。

何度かに渡ってTCA148について書きましたが、とりあえずこれで一旦完結になると思います。
あとは無事に日本に持ち帰って実戦投入するのみですね。
後日記事にしますが、56式弾帯が激安で手に入ったのでポーチに入れてみましたが、素晴らしい重量感です。
ポーチに入ったままボリュームを調整したり、引き出してキーを操作したりしてみると、実際の使い勝手がどうだったか?追体験できて興味深いです。

お読みいただきありがとうございました。  


2021年10月23日 Posted by 4039  at 13:04Comments(0)装備無線機

TCA PRC-148可動レプリカ 受信専用加工 ファイナル



「MY G-SHOCK」という、カシオ公式のカスタムG-SHOCKのサービスが始まるようですね。
https://gshock.casio.com/jp/products/mygshock/


ベゼル、バンド、ガラス等を自分の好きなように組み合わせて、「自分だけのG-SHOCK」を作れるサービスです。
結構前からNIKEがやっていたり、近年ではNew Balanceもやっていたと思うので、アイデアとして真新しさは特に感じませんが、G-SHOCKで出来るようになるのは素直に嬉しいです。
まだ注文はできませんが、既にWebサイトでカスタマイズ操作ができ、綺麗なCGで着せ替えできるので遊んでいるだけでも結構面白いです。


公式サイトでは190万通りとしていますが、3連遊環の色もそれぞれ選べ、その組み合わせまで含めると6億超通りの組み合わせがあるらしいです(笑)
現状は日本国内配送のみの対応で通常3~5週間で届くらしいですが、生産キャパは1000本/月程度を見込んでいるようで、ローンチ直後は注文が集中して数か月待たされるかもしれませんね。
このサービス限定のカラーも存在し、ローンチでは90年代に発売したモデルの復刻カラーが登場するそうです。


初期アフ米軍装備的にはちょっと惹かれましたが、防水表記が日本仕様の「BAR」なのでいらないですね。
(米軍装備的にはBARではなく、欧米仕様のm表記の方が自然と言えます)
まあ各色限定500本のようなのでどうせ転売ヤーが一瞬で買占め、メルカリ等でバカみたいな転売価格で出回るんでしょうね...。
今後もMY G-SHOCK限定のカラー展開は続くと思うので、G-SHOCK好きは要チェックですね。

では本題に入ります。
無線の事について書いてありますが、ド素人が無様に藻掻いた様を綴った記録です。
なのでほんの少しでも無線関係の知識をお持ちの方にとってはハナクソ以下の事しか書かれていませんので、これ以上読み進めても得る物は何もないので悪しからずです。

前回、前々回とTCA製PRC-148可動レプリカの送信機能オミットについて書いてきましたが、今回さらに加工を加え、ひとまず完了としましたのでまとめておこうと思います。


過去記事
TCA PRC-148可動レプリカ
TCA PRC-148可動レプリカ 受信専用加工続き

今までの記事でもしつこく書いていますが、日本には電波法という法律があり、免許が無い、または免許があっても認証されていない無線機から電波を発射すると違法となります。
また発射せずとも、「容易に発射できる状態」で所持していても違法性が問われる場合があります。
この「容易に発射出来る状態」というのは曖昧な表現で、具体的にどういう状態を言うのか?の定義はありません。
なのでグレーな部分が非常に多い分野だと思われます。

今回のTCA製や、TRI製、FCS製等のPRC148/152可動レプリカ達は勿論日本で認証を通っておらず、そのまま使うとたちまち違法です。
「所持していても電源を付けなければOK」というのが通説というか建前としてまかり通っている印象ですが、バッテリーを繋げた状態で公共の場(サバゲ場等)に持ち出したりすると、たとえ一度も電源を入れていなくても、通報等されて警察官が来て検閲されたら検挙される可能性が十分あると思います。
その時来るのがいじわる職務勤勉な警察官なのか、余計な仕事をしたくない寛大な警察官なのかで判断は変わると思いますが。
ちなみにですが、免許を持っていなくて認証も通っていない無線機がアマゾン等で普通に売っていますが、販売業者が逮捕されたという話は聞いたことがありませんよね。
多くの業者は売れるまで倉庫等にその無線機を在庫している、つまり所有している訳ですが、これについてはトライスさんのブログに下記のような言及がありました。
「売ってるんだから大丈夫だと思い込んでしまいますが
脱法ハーブ同様、販売に関しての規制がありません。
何故かというと、電池を外した状態で、
触れる事が出来ないパッケージされている時点では
電波を発射する事の出来ない、ただの機械部品としての扱いだからです。」

いずれにしても、個人が電源を入れて自由に遊ぶ為には完全に送信できなくする必要があります。
この「送信できない」というのがどういう状態か?も明確な基準がありませんので、自己判断するしかないのが難しい所ですね。
前回までで私はこの「送信できなくする」為の加工として下記を実施しました。

PTT不能化加工
・本体PTTスイッチのコネクタを外す
・6ピンコネクタのPTT配線を切断

VOX機能(音声を検出し、自動で送信する機能)不能化加工
・本体のマイク配線を断線
・6ピンコネクタのマイク配線を切断

もしかしたらこれでも十分なのかもしれませんが、誤作動をしたり、設計仕様上「実はこのボタンとこのボタンを同時押しすると送信動作をしてしまう」みたいな、一定の条件下で意図せず電波が発射されてしまう可能性は捨てきれません。
法律違反は「想定していなかった」では済まされませんからね(もちろん取り調べる側も気づかなければセーフですが、あまり良い考え方とは思えません)。
また、本体PTTはネジを外して筐体を開け、コネクタを繋げれば復旧しますし、配線もちょちょっと半田付け等で繋げれば復旧可能です。
なので、まだこの程度の加工では場合によっては違法と判断されてしまう可能性がゼロではないと考えました。

ここで他の無線機の話ですが、前回少し書いた中国Baofeng社のUV5Rという無線機を認証に通す場合、PCに繋げて発射出来る周波数をソフトで適応範囲に書き替え、再度書き換え出来ないようにPCとの接続部をボンドで埋める等で物理的に破壊すれば実際に認証通っているようです。


ここから、「工具等を使って、基盤上の一部部品を交換しないと復旧できない」というレベルまで持っていけば「送信できない」と胸を張って言えると考えました。

そうと決まればまた内臓に出てきてもらいます。


既に何度か分解しているので、スルスルとここまで行けるようになりました。
今回は裏蓋側の基盤の裏側に用事があるので、裏蓋に固定されているビスを外し、基盤の裏側を確認しました。


固定ビスが18本もあり明らかに過剰だと思うのですが、普通の無線機もこんな感じなんですかね?
どういう設計思想なのか皆目見当もつきませんが、部分的に少しでも浮いたら(裏蓋との導通が途切れたら)不具合があるのでしょうか。

無線機は完全に素人なので手探りですが、まずは「電波を出す根源を破壊すれば、当然送信出来なくなるだろう」と考えました。
電波の根源は「水晶発振器」なるモノのようです。


詳しい原理はさっぱりですが、電圧を掛けると固有の振動数で発振するそうです。
身近なところでは上記のG-SHOCKみたいなクオーツ時計にも水晶振動子が入っていますよね。
同じく電波を利用するパソコンやスマホにもたくさん入ってるんでしょうね。
この水晶発振器で発せられた「電波の種」みたいなものを回路上で増幅して最終的にアンテナに乗せて放出する事を「送信」と言うイメージで合ってるんですかね?
水晶発振器がどんなものかを目に焼き付けた上で基盤を見ていくと、どうやら右下にいる赤丸で囲んだヤツがこの148の発振器のようです。


早速こやつを叩き割ろうと思ったのですが、少し冷静になり再考しました。
きっと受信する時にも周波数の検知は必要なはずで、基盤を隅から隅まで見渡しても発振器らしきモノはこれ一個です。
もしこれが送信にも受信にも必要な部品だとすると、破壊すると送信だけでなく受信も出来なくなってしまいます。
一応無線機の受信回路図を調べてみましたが、確証は全くありませんがやはり回路内に発振器は必要なようです。


受信機能は無くしたくないので、この部品に下手に手を出すのはやめておきました。

その後も色々と無線機関係のブログ等を拝見していたところ「ファイナルトランジスタ」なる物が故障すると発信が出来なくなるようです。
トランジスタは発振器で発振された電波を増幅する部品で、通常は何段階かに分けて増幅され、最後に増幅する為の部品がファイナルトランジスタのようです。
他のハンディ無線機で実際にこの部品を破壊して受信専用に加工している実例も見つかり、色々な無線機の基盤写真と見比べながら、この148のファイナルトランジスタは基盤中央ちょい上にいる2個の黒い部品であると判断しました。


部品の形状、基盤上の他部品との繋がりや、他の無線機のファイナルトランジスタ同様に裏側に放熱用クッションがあったのが判断材料です。
ちなみにこの部品にレーザー刻印が入っていたのですが、ネットで調べても情報が得られませんでした。
刻印を検索して製品が特定できれば安心できたのですが。
この148はUHFとVHFに対応しているので、対の形で2個配置されているのも合点がいきました。
後戻りできないですが、「最悪ドンガラになってもいいや!」と勇気一発、ペンチでもぎ取りました。


これでもうこの148は「受信機」もしくは、受信機能まで死んでいれば「ただの文鎮(笑)」と呼んでも差し支えないはずです。
ただ、トランジスタは「電波を増幅する装置」なので、今の状態でも基盤が何らかの要因で発信動作を起こした場合、水晶発振器は発振をするはずなので、微弱ですが厳密に言えば電波を発射しているという事になります。
この辺りもどう解釈すればいいか悩みますが、ネットを色々見る限り「PTTを殺せば受信機として認められる」という認識が一般的なようなのでこの処理自体保険のような位置づけと考えればいいかもしれません。
逆に変に壊したので回路が誤作動して電波を出してしまうというオチもあるかもですが(苦笑)

本体PTTの処理は一工夫加えました。
本体側面のPTTスイッチ部のネジを外すと、パネルとボタンが簡単に外せました。


どの箇所もそうですが、変に接着や嵌め殺しをしている箇所は無く、非常に素直に作られている感じで好印象です。
PTTスイッチの基盤から、接点であるドーム板をナイフでこそぎ落としました。
(上の写真は既にドーム板を取り除いてあります)


透明なフィルムでラミネートされているだけなので、カッター等でフィルムをカットすれば簡単に破壊できました。
前回行った側面スイッチ基盤ごと断線させると、PTTの上下にいる3つのボタンも全て不能になってしまうのが少し不満でした。
不能でも運用上ほぼ不都合はありませんが、こういうのは雰囲気モノですので、ボタンを押したらちゃんと反応して欲しいのが男心というものですよね(笑)
今回の加工を行った事で、PTTスイッチを基盤から完全に破壊し、かつ他のスイッチはライブになるので一石二鳥でした。

組み直すついでに電源は通電可能に復旧しました。
これで流石に電源を入れても「容易に電波を発射できる状態」とはみなされないと判断した為です。

完全に不安がゼロではありませんが、PTT、及びマイクは切断してあり、一般的にはこの処置だけでOKのようですので、大丈夫と判断します。
むしろネットではVOXが付いている機種であってもPTTスイッチを殺すだけで「受信専用化」と謳っている場合が多く、それに対して突っ込みが入っている様子も見かけません。

ここまで色々と細々書いてきましたが、読まれた方の中には「こんなことまでしなくて大丈夫だろ。こいつビビり過ぎ。」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
正直な話、こうやってネットに載せずに一人で家でコソコソ遊ぶだけなら、ここまでしなくても全然大丈夫だと私も思います。
生まれてから一度も赤信号を渡った事が無い、特別な標識が無い2m以下の歩道を自転車で通った事が無い、車で法定速度を1km/sも上回った事が無い成人は皆無だと思います。
「別に誰にも迷惑かけてないからいいでしょ」「そんなルール知らなかった」「標識見過ごしてた」といった風に、「ナチュラルな違法行為」は世では茶飯事と言えるでしょうし、それをいちいち咎める風潮は全国どこを探しても見つからないと思います。
今回言及している電波法においても、例えばこの148を買って来てすぐ電源付けて、家の中で特小無線の周波数に合わせて受発信していても、誰かに迷惑をかける事もバレる事も無いと思います(イケナイ周波数で電波飛ばしてたら警察にバレますが)。

なので、見方によっては今回私のやっている事は「考え過ぎ」なのかもしれません。
「ここまでしなくちゃ実動PRC持てないのか...」と尻込みをする必要はないと思います。
ただ、こうしてネットに載せる以上は中途半端な事は出来ないですよね。
私をリアルで知る方々もこのブログに目を通してくださいますし、たとえその気が無くとも堂々と法律を犯している事を公にするのは、法規上も倫理的にも悪い事だと思います。

「ならそこまでしてブログ記事にしなきゃいいじゃん」と自問する時もあるにはありますが、私は他の方のブログやSNS投稿から沢山の情報や知識を授けてもらい、日々の楽しみを与えてもらっています。
貰ってばっかりじゃ悪いと思うのが人情というか、構成員が能動的に作用しあった方が、社会も、組織も、趣味の輪も、効率的に高度に発展していくものだと考えています。
大好きなミリタリー趣味業界の健全な発展を願い、ブログという形で微力ながら何か貢献できればと思う心が、4年半記事を書き続けているモチベーションの一端を担っています。
無論「俺こんなコト知ってるんだぜ!こんなすごいモノ持ってるんだぜ!どうよ!」と、電脳の海の中から地球に向かってドヤ顔したい欲望も一端を担っています(笑)
清廉潔白からは程遠いうすら汚れた人間が書いている駄文の山ですが(笑)、これからもたまには当ブログに遊びに来て何かしら持ち帰ってくれれば幸いです。

お読みいただきありがとうございました。  


2021年10月18日 Posted by 4039  at 18:33Comments(2)装備無線機