初期アフガンフリース比較

初期アフガンフリース比較

今回も初期アフガンネタです。
すっかり記事が初期アフガンに偏ってきてしまいましたが、気にせず初期アフガンまっしぐらです(笑)

気がついたら似たようなフリースが我が家に3つもありましたので、一度まとめておこうと思いました。
初期アフガン戦に投入されたと思われるモデルのフリース達です。
初期アフガンフリース比較

右:実物ECWCS GEN2 LEVEL3のフリース。初期アフガン界隈では「後期型」とも呼ばれたりしていますね。
中央:実物LEPのフリース。「スピアーフリース」や「初期型」等で呼ばれます。
左:トイソルジャー製レプリカのフリース。中央のモデルのレプリカと思われます。

一番右と他の2つの形状的な違いは、「初期アフ フリース」等で検索すれば分かりやすくまとめられている素晴らしい記事がいくつも出てきますので、今更私が書けることはありません。
ちなみにこの2者ですが、私は規格そのものが違うと認識しています。
右の「後期型」と呼ばれたりする方は第2世代の「ECWCS(Extended Cold Weather Clothing System)」のLEVEL3ので、
中央の「スピアーフリース」と呼ばれたりする方は「LEP(lightweight environmental protection)」のLAYER4という認識です。
この「LEP」はSPEARのサブシステムとして開発された装備のようで、運用思想はECWCSと同じようなモノのようです(組み合わせで防寒レベル調節)。

参考サイト
ECWCS:https://ja.wikipedia.org/wiki/拡張式寒冷地被服システム
LEP:http://ciehub.info/clothing/CW/LEP.html

トップ画像は初期アフガンのフリースを語る上で100%出てくる写真ですね(笑)
第5特殊部隊グループの隊員とトミー・フランクス司令官の写真です。
隊員がLEPのフリース、将軍がECWCSのフリースを着ていると思われます。

以前から初期アフガンODA装備としてトイソルジャーのレプリカを所有しており「これで初期アフフリース問題は解決」と思っていたのですが、方々で「トイソルのフリースは海軍仕様」という情報を目にしました。
グリーンベレー装備を揃えている身としてはいてもたってもいられなくなり、この程実物を手に入れました。
せっかく実レプ揃ったので、比較結果を記事にしてみようと思った次第です。
ECWCSとLEPの比較記事はよく見かけますが、トイソルジャーレプリカと実物の比較は見かけた事が無いので、何かの参考になれば幸いです。


比較の前に、今回私が入手した実物を説明しておきます。
2004年製造の未使用品とのことです。
ビニール包装に入った状態でした。
初期アフガンフリース比較

POLARTECの紙タグまで付いたままです。なんか嬉しいですね!
初期アフガンフリース比較
初期アフガンフリース比較

ちなみに紙タグの裏側は日本語でも説明が書いてあり、ちょっとびっくりしました。
「山田」のシャチハタは、おそらくショップの方が検品等した際のものでしょう(笑)
(それともまさかのメイド・イン・ジャパン?)

タグです。
初期アフガンフリース比較

サイズはSMALL REGULAR。170cm、70kgの中肉中背の体型で縦も横も嬉しくなるくらいジャストフィットでした。
タグの表記で注目したのが下から2行目の「MCN」です。
MCNは「Management Control Number」の略で、言うなればNSN(National Stock Number)の米軍身内バージョンのようなもの?みたいです。
「MCN」参考URL:https://wikileaks.org/wiki/Management_Control_Number

英語力が足りずちゃんと理解できていませんが、ATEC(U.S. Army Test and Evaluation Command)という米陸軍組織が運用していた規格のようです。
「ATEC」参考URL:
https://en.wikipedia.org/wiki/United_States_Army_Test_and_Evaluation_Command

安直かもしれませんが「陸軍が運用しているMCN規格が記載してあるんだから、このフリースは陸軍の放出品だろう」と考察しました(が、下の方で覆ります 笑)。

それでは実物とレプリカの詳細を比較していきます。

まずは全体写真です。
トイソルジャーもサイズはSサイズです。
初期アフガンフリース比較
下が実物。上がレプリカ。

各丈、各幅ともほぼ同寸です。


ジッパー
どちらも全て安心のYKK製ですが、
ポケット部のジッパーが少し異なりました。
初期アフガンフリース比較
左が実物。右がレプリカ。

実物の方がジッパーの目が細かいです。
この部分以外は少し目の粗いジッパーになっています。
レプリカは全箇所同じ粗さでした。
この部分以外は実もレプも見分けがつかないレベルです。


ポケット部のカバー
初期アフガンフリース比較
左が実物。右がレプリカ。

実物の方が若干幅が狭いです。
パラコードは実物の方が細いです。

起毛部の質感
初期アフガンフリース比較
右が実物。左がレプリカ。

実物の方が黒々しており、フカフカ感が段違いです。
ただ、これは単に保管コンディションの差かもしれません。
ちなみに上部のつるつるナイロン部はそっくりな質感でした。


袖口
初期アフガンフリース比較
下が実物。上がレプリカ。

分かりづらい写真ですみませんが、実物の方が絞りが強いです。
ただしこれはレプリカの方が「伸びた」だけの可能性はあります。

表側の違いは以上です。
続いて内側です。

タグ
実物
初期アフガンフリース比較

トイソルジャー
初期アフガンフリース比較
初期アフガンフリース比較

当たり前ですが違いますね(笑)
ちなみにトイソルジャーの方は日本語が書いてありました。


内ポケット部
初期アフガンフリース比較

右が実物。左がレプリカ。

ここが最も異なる箇所でした。
・裏材の光沢感、面積
・メッシュポケットの深さ、色
これが所謂「海軍仕様」と言われている所以なのでしょうか?


私が認識できた違いは以上でした。
内側ポケット部以外、仕様というよりは、製造年度や工場の差等のバラつきとも考えられるようなわずかな差しかありませんでした。
少なくとも、トイソルジャーレプリカの完成度は素晴らしいということは断言できます。

内側なんて着用してしまえば全く分かりませんし、わざわざ実物を調達しなくてもこのレプリカで十分事足りましたね。。

両者を比較した後「そもそも「特殊部隊仕様(陸軍仕様?)」と「海軍仕様」が存在するのか?」という疑問が浮かびました。
そこでネットに上がっている同型フリースのタグ写真を片っ端から集めてみました。
初期アフガンフリース比較
初期アフガンフリース比較
初期アフガンフリース比較
初期アフガンフリース比較
初期アフガンフリース比較

確認できたのはサイズを除くと3種類です。
ひとつは私が今回入手したものと同じ記載内容
初期アフガンフリース比較

もうひとつは上記プラス「DAAK」の規格表記が入ったもの
初期アフガンフリース比較

そしてもうひとつが海兵隊マークと「DAAN」「NSN」が入ったものでした。
初期アフガンフリース比較

「DAAK」はU.S. Army Soldier Systems Command(日本語訳分からず)の予算での調達品のようです。つまり試作品のようです。
ちなみに「DAAK」は97年までで、98年からU.S. Army Soldier Systems CommandがU.S. Army Soldier Systems Center(右に同じ)に改名され、ナンバーも「DAAN」となりましたが、その翌年に他の組織との統合があり「DAAD」になったようです。
いい加減にして欲しいですね(笑)

また、「DAAK」、「DAAN」ナンバーの3、4ケタ目が調達年号ということもわかりました。
いくつか「DAAK」入りのタグを確認できましたが、全て「96」でした。
2004年製造の私のフリースには無く、LEPが1996年から運用開始しているようなので、「DAAK入り」はLEP初期の試験運用的に調達された物なのかもしれませんね。

「DAAN」の方は「98」です。上記の経緯とも合致しますね。
気になるのは陸軍組織の予算での調達品のはずなのに、USMCのタグがあることです。
そうなると同じく陸軍組織の予算調達ナンバーであるMCN=陸軍支給品という私の考察は間違っている可能性が高くなってしまいました...。残念!

「DAAK入り」と「DAAK無し」、トイソルジャーの内側ポケット部の画像を下に載せます。
非常に口惜しいですが、USMCタグの「DAAN」品のポケット部の画像は見つけられませんでした。

04年製 DAAK無し
初期アフガンフリース比較

96年製 DAAK有り
初期アフガンフリース比較

トイソルジャー
初期アフガンフリース比較

DAAK有無の両者は若干メッシュの色味が違う(撮影光源の差?)程度で、どちらもトイソルジャーのレプリカとは明らかに違いました。
こうなると俄然USMC+DAAN品の内ポケット部が見てみたくなってきますね。


内容が煩雑で長くなったので、まとめます。
・実物タグはMCN、MCN+DAAK、DAAN+USMCのものが確認できた
・トイソルジャーのレプリカの内側ポケットは、MCN表記の実物内側ポケットとは違う仕様を再現した可能性がある
・DAAN+USMC品の内側ポケットは画像が見つからなかった

以上の考察より、下記3つの可能性が導かれます。
1.そもそもこのフリースに「特殊部隊仕様」や「海軍仕様」というようなバリエーションは存在せず、
1-1 単にトイソルジャーのレプリカの詰めが甘い
1-2 年代によってマイナーチェンジされており、今回比較した実物とレプリカが再現した年代が異なる(ただ、これは96年製と04年製がほぼ同じデザインだったので、考えづらいです)

2.USMC+DAAN品が巷に言う「海軍仕様」であり、トイソルジャーはそれを忠実に再現している

とりあえずUSMC+DAAN品の詳細が確認できれば進展がありそうです。


長い事ごちゃごちゃ書きましたが、最も大事な結論は、
「初期アフフリースはトイソルのレプで十分!」です(笑)

私はサバゲ装備で「パッと見本物っぽい」でOKなので、ここまでの考察でお腹がはちきれる程いっぱいになりました。
もし何か情報をご存知であったり、私の考察に間違いがあったらご指摘いただけると嬉しいです。

流れで色々タグ表記のお勉強をしましたが、非常にややこしいですね。
とりあえず「MCN」や「DAAK」「DAAN」「DAAD」等、記号めいた略語の雨あられは本当にやめて欲しくなりました(笑)
タグをぱっと見ただけで「これは〇〇」と判断できる人を心底尊敬します。
タグはそのアイテムの素性を特定する上で非常に有用なのは間違いないので、折に触れ勉強していこうと思います。

お読みいただきありがとうございました。





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2017年11月30日 Posted by 4039  at 22:34 │Comments(2)装備初期アフガンODA

この記事へのコメント
いつも面白い記事ありがとうございます。
私の認識では海軍使用は袖のベルクロなし
肩の切り替えしありのものを指すのだと思っていました。
なかなか解像度の高い写真もないし難しいですね。

ところでこの品物私もチェックしておりました。
この記事で購入に弾みがついてしまいそうですw
Posted by 山口県の映画好き at 2017年12月01日 10:58
いつもコメントありがとうございます。

この手の考察は、真偽の定かでないweb情報等を掻き集め、擦り合わせて「より真実らしい」情報を紡ぎ出すことしかできないので、基本どこまでやっても断言は難しいですよね。
私の記事もその「真偽の定かでない情報」のひとつとして何かしら皆様のお役に立てればと思う次第です。
少なくとも山口県の映画好き様の物欲を刺激するお役には立てたということですね(笑)
Posted by 40394039 at 2017年12月01日 12:23
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