初期アフリストコンパス問題 解決編



過去2回記事にした「初期アフリストコンパス問題」について、非常に大きな進展がありましたので続編を書きます。
初期アフ リストコンパス問題
初期アフリストコンパス 加工編

今回が「解決編」と言える内容になります。
まずは今までの経緯を簡単におさらいしていきます。

下記写真達は所謂「初期アフといえば」の代名詞的なミリフォトと言っても過言ではないと思います。




19th SFG ODA961の2002年時の写真という認識です。
この中で一際異彩な存在感を放つヒゲもじゃの隊員、通称「cowboy」氏の変なリストコンパスが何か?疑問を持ち調べました。




そこでGoogle先生に対し「りすとこんぱす」と問いかけて出された無数の画像をしらみつぶしに見ていくという、情報弱者の悲しいまでの肉弾真っ向勝負で挑んだ末、奇跡的に下記画像を発見しました。


しかし画像を見つけたまではいいものの、各種通販、オークションサイトを血眼になって探し回っても見つからず、すぐに痺れを切らし「自作」という暴挙に出ました。
SUUNTOのM9コンパス(新型)をバラして文字板の色を塗り替えて組みなおし、「SUUNTO M9 Silva-ish」なるものを作り上げました。


コレでひとまず溜飲を下げて、使っているうちになんだかんだ愛着も湧いてきて平穏な日々を過ごしていた、というのが今回に至るまでの経緯です。

そんな平和に暮らしていたある日、インスタで仲良くさせていただいているtom69beardさんから「あのコンパス、出てますよ!」とのご連絡をいただき早速チェックすると、そこにはなんと新品未開封のあのコンパスの姿がありました。


商品説明や他の出品物等の情報と、こんなレア物今の日本に2個とないだろうと考え、出品者はナイロンが気になっているお年頃のあの方に違いないと思い連絡を取ってみると、見事的中でした。
リコさんは過去の私の考察記事をきっかけにこのコンパスを調査され、見事2個調達されたそうです。
そして今回、その内の1個を放出されたというわけですね。

無論当時私も記事をアップする前にあらゆる場所を探しましたが、私の調査能力では見つけられませんでしたので、
もし私がブログで考察記事を書いていなければリコさんも入手されることはなく、そうなると今私の手元にあることは叶っていなかったということになります。
コツコツとニッチなブログをやっていて本当に良かったと思いました(笑)

このように思うところもあり、「絶対に負けられない戦い」と自分と財布を奮い立たせ決戦に臨みました。
大激戦を予想していましたが、蓋を開けてみると入札したのは私の他に1名のみでした。
しかもその方は私のブログにコメントしてくださっているTEGUさんでした。
世の中狭いですね(笑)
まあこの界隈では結構あるあるだったりしますよね。

競らずに私にチャンスを下さったtomさん、そしてなにより今回貴重な品物をお譲りくださったリコさん、ありがとうございました!
おかげさまで思いの外早く私の「初期アフドリーム」のひとつが叶いました。

ただ、お宝過ぎてゲームで着けるのがはばかります。
直近ヴァイブス師匠のM9コンパスが被弾して割れたという事故もあったようで、それがこのSILVA君に起こったらと思うととてもじゃありません。
なので、ここぞという時以外は自作の方を着けようと思います。
着ける為に買ったくせに、破損が怖くて着けられないという大いなるジレンマに頭を抱えています(苦笑)


前置きが長くなりましたが、そろそろ物を見ていきましょう。
泣く子も黙る新品未開封品です。


私は涙を流しながらも、しかし躊躇無く開封しました。


パッケージの型紙を貼り合わせている糊が完全に風化していたおかげで、無理に破ったりせずに開けられました。
このパッケージも超大事な資料なので、宝箱に保管です。

全体的なレビューは既にリコさんがしてくれていますので、私は細かーい所を書いていきます。
気になったのはやはりSUUNTO M9との関係性です。


そっくりですよね。
そっくりを通り越してもしや全く同じなんじゃないかと思い、色々観察してみました。

まず一番最初に目についたのは、側面に縦に入った傷です。
SILVA


SUUNTO M9


赤丸の部分に全く同じ形状で入っています。
成形金型から離型する際についたものだと思います。
パッと見でこの面は抜き勾配も全然取ってなさそうですし。
おそらく意図したもの(加飾や機能上のデザインで、図面に描くような形状)ではないはずなので、金型が別なら全く同じにはならないはずです。
ちなみにパーティングラインの上にあるので、この傷が入っている部分はキャビティ側の金型だと思われます。

次です。
足の裏にある「FINLAND」刻印部を見てみました。
SILVA


SUUNTO M9


歪んでいて汚いですね。
この歪みの形状も全く一緒です。赤丸した部分が分かり易いと思います。
こちらは先ほどとは逆にパーティングラインの下にあるので、コア側の金型になります。

以上より、金型は上下どちらもSILVAコンパスとSUUNTO M9で全く同じ物が使われている可能性がかなり高そうです。

ちなみにフロントにある「Silva」刻印については金型を追加工したと推測します。


この部分は「Silva」の文字部が凹んでいて、そこにゴールドの塗料が色埋めされています。
製品が凹ということは、金型はその逆で凸になっています。
金型は肉を盛るのは難しいですが削るのは比較的容易ですので、SUUNTO M9に転用する際に金型の刻印部を削り落とし、シボを打ち直したのだと思われます。

ちなみに上記の金型由来と思われる特徴は新型M9(大体2015年~)でも確認できました。


つまり現在まで金型は更新せず、ずーっと同じものが使われている可能性が高いです。

材質は何かは分かりませんが、金型消耗が激しそうな材料(グラスファイバー入り等)ではなさそうですし、公差もかなり甘いと思うので、一部スライドが必要そうな形状ではありますがそこまで複雑でもなさそうなので、平気で数十万ショットは持つのではないでしょうか。
仮に30万ショット以上持つと仮定して、このコンパスの発売が20年前だと仮定すると、MAXで年間約1.5万本以上は生産されている計算になりますね。
リストコンパスは需要が限定されると思われる商品ですし、デジタルガジェットの台頭で年々売り上げ本数も下がっていると思うのでいい線かな?と思います。
wikipediaによると設立から約60年で累計2500万個のコンパスを作ったようなので、そのあたりの桁数を考えても、1機種、しかも需要の少なそうな機種の生産数としては見当外れな数字ではないとは思います。
そう考えるとSILVAの時代から今まで金型を更新せず、今日までずーっと使っていると考えても自然かなと思いました。


次に注目したのは風防が嵌まる箇所のバリです。
SILVA



M9



大きさは若干違いますが(SUUNTOは中古だから使用で削れた可能性もあり)、全く同じ場所、傾向のバリの出方をしています。
バリは金型同士の隙間に樹脂が入り込んで、「たい焼きの羽」のようにハミ出ている現象です。


たい焼きだと嬉しいですが、プラモやトイガンだと目の敵にされる部分ですね。

バリは金型要因もありますが、成形条件(射出圧や射出速度、樹脂温度、保圧力や時間、型閉め力やペレットの水分量等の管理)も大きく影響するはずです。
そこまで詳しくないので断言はできませんが、バリの出方が全く同じということは、両者は金型のみならず成形条件も同じなのではないかな?と推測しました。
あまり自信ないですが、たとえ成形条件を全く同じにしても、違う場所、違う成形機、違う作業者でやったらここまで同じバリの吹き方はしないのではないかな?と個人的には考えています。

そして更なる考察材料として、足裏の「FINLAND」刻印です。
この辺の表記の法律はあまり詳しく無いですが、きっとフィンランド国内で部品製造、組立されて出荷されているのだと思います。
そしてSILVAはスウェーデンのメーカーで、SUUNTOがフィンランドの会社です。
両社の工場が何処にあるかは不明なので不明瞭ではありますが、上記現物の形状踏まえた私の推論としては、
「SILVAがSUUNTOにOEM or ODM生産させていたリストコンパスの商品権利を、何らかの事情でSUUNTOに譲渡し、SUUNTOは刻印を削り落し製品名を変えたのみで同じ場所で同じように作って売り続けている」あたりの考え方が自然なのかなと導き出しました。

いずれにせよ、ケース部品は全く同じ金型が用いられている可能性は高いと思います。
そしてSILVAとSUUNTO M9はフロントのロゴ刻印の有無が異なりますので、どこかのタイミングで金型に不可逆な加工をした(刻印を削り落とした)と考えられます。
つまり、SILVAとSUUNTO M9は同時期に生産されていた可能性は低く、SILVAが廃版になりSUUNTO M9にスライドした可能性が濃厚だと思います。

そしてその「変わったタイミング」ですが、下記ミリフォトのように2001年時点で既にSUUNTO M9が米軍特殊部隊の腕に巻かれている認識です。


なので、SILVAとSUUNTO M9が切り替わった時期は2001年よりも前ではありそうだという所までとりあえず突き詰めました。


今回はここまでとします。
一回で書き上げるつもりでしたが、手に入れたのが嬉しすぎて死ぬほど細かい話で長くなってしまいました(苦笑)
かなり貴重なアイテムだと思うので、せっかく手にさせてもらったからには詳しく考察して記事にまとめて、同志の皆様に広めなくてはという義勇感もあります。
リコさんはじめ、今回このコンパスを見送ってくれた方が「ああ、この変態に譲っといて正解だったな」と少しでも思ってもらえるよう頑張って深く掘り下げてみました。

まだまだパッケージや説明書から分かった事とかも色々書きたいので、「解決編PART2」に続きます(笑)
まだ記事構想段階ですが、コンパスの話なのに我々に身近なある台所用品の話も出てきたりして、またまたディープめな話になりそうな予感です。

次回も今回に引き続き「初期アフを深堀りし過ぎて初期アフ要素ほぼゼロになっちゃった記事」という、ニッチ・オブ・ニッチな誰得な記事になりそうですが、よろしければお付き合いください。

お読みいただきありがとうございました。




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2018年11月28日 Posted by 4039  at 21:38 │Comments(6)装備初期アフガン

この記事へのコメント
おはようございます。

お買い上げありがとうございますw
いやーすごい記事が上がっててびっくりしましたw

私もウチにあるM9シリーズを引っ張り出して比較しましたが、横のスジは全部に入っていました。

が、
ベルクロバンド仕様じゃない古いM9だけ「FINLAND」が入っていませんでした。(歪みはしっかり入っています)

このM9が一番古いものかは不明ですが、、、一番古い場合、M9が最初に作られていて、その後「FINLAND」を入れたとなると、M9とシルバは同時期に同じ工場で作られていたのかもしれません。
可能性の一つとしてどうぞw
Posted by リコ・チンデルリコ・チンデル at 2018年11月30日 12:02
コメントありがとうございます。

眺めてたら色々と想像が止まらなくなりました(笑)
情報ありがとうございます!
ベルクロバンド以前の仕様があるんですね!
しかも刻印なしの個体があるとは。。

おかげさまでまた色々と想像が捗りそうです(笑)
次回もまだまだ細かいことを書いていきますので、よろしくお願いします。
Posted by 40394039 at 2018年11月30日 21:54
おぉーっ!!
素敵です!
行くべき人の所へ行った『Silva』は、幸せですね~!
お会いできる日が来たら、是非見せて下さい!
Posted by tom69beard at 2018年11月30日 22:25
ありがとうございます!

せっかくの新品なので、しっかり研究してみました。
tomさんとお会いする時は必ず着けていきますね!
Posted by 40394039 at 2018年12月01日 10:43
こんばんは

今回の記事も大変読み応えがあって、ワクワクしちゃってます。
4039さんに検証してもらえてるのでチョー楽チンしちゃってます。

なんせ外側だけの人間なんで(笑)

この時代でSUUNTO M9 いけるんですね。
私にとって、大変有益な情報を頂けて感謝感激です。
今ならまだ旧タイプも手に入りますしね♪

今後とも4039さんのご活躍を期待しております。

追伸
某海外サイトで、とんでもないセットがとんでもない値段で出てたので
つい、ポッチってしまいました。
今回は大賢者マスターにお願いしようと思います。
Posted by TEGU at 2018年12月14日 20:16
コメントありがとうございます。

楽しんでもらえて何よりです。
ありがとうございます。

そうなんです、わざわざこんなSILVAを手に入れなくても、旧型SUUNTO M9でも初期アフ大丈夫なんです(笑)

大物いかれたんですね!
お買い得品は見つけてしまったからにはもういくしかないですよね(笑)
私はこのコンパスを今年最後の散財にして、後はおとなしくしていようと思ってます。
Posted by 40394039 at 2018年12月14日 23:46
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