PMCのお勉強「潜入!イラク危険地帯」

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本題に入る前に、今話題のスターウォーズのスピンオフ連続ドラマ「マンダロリアン」を鑑賞しました。
PMCのお勉強「潜入!イラク危険地帯」

本編シリーズで登場しているボバ・フェットやジャンゴ・フェットと同じ部族のキャラが主人公の冒険活劇です。
当ブログのプロフィール画像を見ていただければ分かると思いますが、私はスターウォーズ大好きです。
小学2、3年生の頃、WOWOWで録画した旧三部作(EP4~6)をVHSが擦り切れるまで何度も繰り返し観ていました。
高学年になった頃特別篇が公開されましたが、最寄りの映画館ではやっておらず電車で錦糸町まで行く必要がありました。
親に連れて行ってとせがみましたが、結局一度も見に行かせてくれなかった事は今でも根に持っています(笑)
スターウォーズとガンダムの影響でミリタリー好きになって理系に進んで、今の私があると言っても過言ではありません。
兵器とテクノロジーは最高に知的好奇心をそそりますよね。

本作ですが世間の評判通り、単刀直入にとても面白かったです。
エンディングに流れるテーマ曲が超クセになります。


全8話ノンストップで見てしまいました。
ストーリーや演出は王道西部劇&時代劇的な、割と既視感ありまくりです。
まんま「七人の侍」の回もあります。
ですがスターウォーズはそれでこそ良いのだと再認識しました。
スターウォーズで大切なのは、拡がりを感じる世界観と魅力的なキャラクターがちゃんと生きている事なのだと思います。
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変に奇をてらった設定や無駄に二転三転する展開、世相に合わせた含みを追求するのは、殊スターウォーズにおいてはノイズといっても過言ではないと私は思います。
無限に想像力を掻き立てる世界で魅力的なキャラクター達が王道展開でカッコよく活躍すれば、グッズが出てファンは嬉しいしディズニーも儲かるしで万々歳なわけですね。
スターウォーズというコンテンツがお金を生み続ける限り、ダークサイドは何度でも蘇りディズニーによる宇宙戦争ビジネスは続くはずです(笑)
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過去作のオマージュやネタを出す所謂「ファンへの目配せ」ですが、本作はいい塩梅というか、浅い~超コアな人しか気づかないレベルのものまでバランスがいいです。
「The Holiday Special」という、スターウォーズ黒歴史なTV作品のネタを散りばめてきていたりして、気づいたファンは嬉しいでしょう。
思わずSNSで「俺これ気づいたぜ!」と自慢したくなり、拡散効果も狙っているのかもしれませんね。

この作品の唯一の難点は、現在配信がディズニーデラックスというサービスのみに限定されていることです。
待っていればアマプラやネトフリ等でも配信されるとは思いますが、ディズニーデラックスは初月1ヵ月無料なので、今まで未契約であればマンダロリアンだけ観て一ヵ月以内に解約すれば無料で鑑賞できます。
ただ、これでハマってシーズン2が始まったら我慢できずに結局有料で契約と、まんまと某マウス卿の手の平で踊ることになりますが(笑)
私はシーズン1を観終わって無料期間で契約を切りましたが、シーズン2が配信された直後に確実にマウス卿にひれ伏す事になると思います。
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本作の高評価でディズニーもスターウォーズの作り方のコツを覚えて、良作(と良グッズ)を量産してくれるとありがたいですね。

では、そろそろ本題に入ります。
先日テレビでナショナルジオグラフィックチャンネルを見ていると、興味深い番組がやっていたので記事にしておこうと思います。
2000年代中ごろのイラクにおけるPMCの密着取材特集です。
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放映されたのは2007年のようです。
おそらくUCP柄のポーチが一瞬映るので、取材したのは2005年以降の可能性が高そうです。
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後述しますが、ナジャフの戦いについて触れているので2004年4月以降なのは間違いないでしょう。
番組の構成上、色々な年代の映像を織り交ぜている可能性も高そうですが。
少なくとも全て放映された2007年以前の映像ということは間違いないでしょう。

本当はPMCではなくPMSCがちゃんとした呼称だと思いますが、本ブログでは一般的に通りが良いと思われる「PMC」と呼称します。

邦題は「潜入!イラク危険地帯」というセンスの欠片も無い非常に分かりやすく興味をそそる題名です。
ちなみに原題を調べてみると「Inside:Iraq's Kill Zone」でした。
まあまんま直訳といえばそうですが、「潜入!」というあたりが胡散臭くてイイですね(笑)

イギリスのアーマーグループ社とハートセキュリティ社に密着し、いくつかの任務に同行しています。
比較的安全な任務を選んだのだとは思いますが、いつ武装勢力から攻撃されるか分からない非常に危険で貴重な取材だと思います。
日本で比較的簡単に見られるPMC資料となる映像ソフトとしては「SHADOW COMPANY」がありますが、それよりも実際の現場の緊張感が伝わってくる内容でした。
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任務同行の一部始終が流れるので、具体的で非常に勉強になりました。
個人的にPMC入門書と思っている「戦場の掟」ですが、この番組を見てから読んだ方がより情景や背景がイメージしやすくていいなと思いました。
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同行した任務は輸送(物資、要人)やコンボイの護衛ですが、任務によって「ハイプロファイル警護」と「ロープロファイル警護」と呼ばれる、対称的なアプローチがあり興味深かったです。

まずハイプロファイル警護について書きます。
車載機関銃や重装備、装甲車両で敢えて重武装をアピールして「俺らに喧嘩売ったら痛い目見るぞ」と抑止力全開で威圧しながら街中を通行する形式です。
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抑止力に加え実際に攻撃された際の対応力に優れ、一般車をどかしながら止まらず通行できますが、目立つので当然襲われる確率自体は高くなります。
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ハイプロファイル警護で同行したひとつの任務の目的は、医療品をグリーンゾーンから数キロ離れた前線基地に運ぶという補給任務でした。
当時のバグダッドは道がそこかしこでしょっちゅう封鎖されていたようで、予定通りのルートで進めない事が多く、同行した任務でも車列が道に迷っていました。
道に迷って危険地帯で減速したり立ち往生したところを襲撃されるケースが多かったようです。
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もうひとつは夜間に隣町に建設資材を運ぶコンボイを護衛するというもので、こちらは帰り道に銃撃を受けるという緊迫した場面があります。
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夜間は視認されづらくゲリラの監視も薄くなりますが、一般市民は外出禁止令が出ていたので、夜間の車列=ゲリラにとっては襲撃対象という事が明確なので、一長一短だったようです。
また、コンボイの運転手のようなどこの馬の骨とも分からない雇用者は、ゲリラ側に情報を売っている危険性も高かったそうです。
実際このコンボイでも疑わしい行動をする運転手が出てきます。
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一方PMCに雇われているイラク人は、自分が外国軍の関係組織に雇われていると知られるとゲリラに殺されてしまう為、絶対に顔は晒さないようにしていたようで、番組中に出てくるイラク人スタッフは漏れなくモザイクが掛かっていました。
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イラク現地人PMC装備を再現する場合、顔全面隠しは必須ですね。
ハイプロファイル警護を想定した装備をする場合は、こんな感じのがっつりゴテゴテ装備にするとサマになりそうですね。
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次にロープロファイル警護についてです。
目立たない装備、防弾加工は施してありますが一見して一般車両に見える車両で、アーマー類も服の下に着こんで、銃はなるべく見えないように携行して一般人に紛れて目的地まで到達する手法です。
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一見して一般人と同じなので察知されづらく、察知されない限りは安全です。
しかし渋滞に巻き込まれると停止している時間が長くなりますし、もし情報が洩れていたら一巻の終わりです。
番組で同行したのは政府要人をグリーンゾーンから役所に護送するというものでした。
政府施設の前には大抵ゲリラが監視をしており、そこの前で停まった=要人が乗っている事を示唆してしまうので、危険な瞬間No.1だそうです。

万が一襲撃された際はスモークを焚いて降車し、安全な所まで退避すると言っていました。
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スモークグレネードを持つとPMC装備としてのリアリティが増しそうですね。

あと、細かいところですがForetrex101も携帯しているようでした。
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Foretrex101は2004年春には発売されていたと思われます。
以前考察記事を書いています「GARMIN Foretrex101

色々なアイテムの年代を知っていると、ミリフォト等の年代考察に大いに役立ちますよね。
また、Foretrex101は特殊部隊装備でも大活躍なので、こうして流用できるアイテムはありがたいです。

ある任務前の準備シーンでは、プライマリの弾薬を420発(30rd×14本)も携帯するという言及がありました。
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もちろん任務によって違うと思いますが、この辺りも装備を考える上で参考になりますね。
どの装備でもそうですが、携行弾数を考察することは結構大事な要素だと思っています。
ゲームユースだけ考えてマガジン数(マガジンポーチ容量)を決めると、リアルとは離れてしまう恐れがありますよね。
その辺りを工夫して、サバゲでも使えてリアルな装備を追求するのが楽しいと思っています。

会社内の工房も登場し、装甲車の改造や社内ガンスミスへインタビューもしています。
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まるでエアガンのカスタムのようにAKのバレルをギリギリまで短縮化している一幕があります。
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やり方はLCTやE&Lの電動AKのバレルカットと大差無さそうで驚きました(笑)
PMC装備では軍隊装備よりも自由度の高いカスタムエアガンを使えそうですね。
かといって何でもいい訳では無く、その時現地でどのような銃が入手できたかや、会社のランクを想像し予算に合った銃種は何か等、軍隊装備では考慮しない点も考慮する必要がありますね。
また、上述の通り任務の想定も選択する銃の要素に大きくかかわってきます。
ロープロファイルな服装(小型アーマーの上からカメラマンベスト等)なのに光学機器満載&ドラムマガジンのARやAKを持っていたら、ちぐはぐになってしまいますね。
ちなみに、車両移動で固定ストックのAKを使っているシーンがありましたので、私の56式小銃もPMC装備として無くはないのかなと思いました。
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PMC装備は勉強するほど奥が深そうです。

他にも、重大事件である2004年4月に発生した「ナジャフの戦い」についても触れており、当時のイラクでのPMCの存在がどのようなものであったかを解説しており、中々見ごたえのある番組でした。
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ナジャフの戦いはyoutube等で実際の戦闘動画がいくつも見られますので、興味あれば検索してみてください。

ところどころおなじみのロバート・ヤング・ペルトン氏もインタビューで登場し、番組に説得力を添えています。
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最後に、取材に応じた一社であるアーマーグループ社ですが、1981年に元SAS隊員が創立した古株PMCのようでした。
番組中、社員の日給は600USDと言及されていますので、高ランクのPMCなのだと思います。
元英軍特殊部隊上がりの方が中心だったのかもしれませんね。
アフガンのアメリカ大使館にて、戒律で飲酒が禁じられているムスリム現地人に酒を飲むようアルハラをしてスキャンダルになったそうです。

ちなみに番組でインタビューされていた社員の働く動機は下記のようなものでした。
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働く動機は人それぞれだと思いますが、自分の才能を活かして世の為になればと思っていた方もいたということですね。
PMCというと悪名高い某社の横暴な態度や事件、それから発した映画や漫画、ゲームの影響で、とかく「悪者、不良、金の亡者」寄りなイメージを持ちがちだと思うので、ちょっと印象が変わりますよね。

この番組ではないですが、下記はアーマーグループ社員の2007年アフガンでの訓練時の写真のようです。
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G36を持っています。
サバゲで持てる銃の選択肢が拡がりますね。
腕時計は先日記事にしたSUUNTOのVECTORでしょう。
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先日の記事「SUUNTO VECTORマイナーチェンジ考察
おそらくこの方の個体もベゼルと6時側側面のSUNNTOのロゴ印刷が綺麗さっぱり無くなっていますね。

SNS等で、Crye的なコンシャツコンパン上下にレプオプスコアにレプJPC的なプレキャリを着て、かわいい女の子のアニメキャラのパッチを胸に貼って、クリスベクターのような銃を持って「PMC装備でサバゲ―してきました」みたいな投稿を見かけると、微笑ましくなります。
自分は微笑まれる側にならないよう、地道にPMCの勉強を続けながら装備を構築していきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。




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2020年03月24日 Posted by 4039  at 22:36 │Comments(0)PMC(PMSC)

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