コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

ダナーのコンバットハイカーですが、日本国内でも定期的に雑誌等で取り上げられたりして、ミリタリー趣味だけでなくファッション方面でも結構有名なブーツだと思います。
コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

どの紹介記事でも必ず「アフガンに展開した米軍の要望で作られた」と出てきますよね。
個人調達ではなく支給品のはずですが、実際ミリフォトでの使用例は私はあまり見たことがないです。
「コンバットハイカーの使用例」でパッと思いつくのは下記写真くらいです。
コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

ミリタリー系ショップのコンバットハイカーの商品紹介でもよく使われているイメージです。
この写真は至る所でレンジャーと言われており、個人的にもレンジャーと認識しています。
Crye ACと思われる上下と、プレキャリとポーチ類がRLCSを塗装しているものに見える為です。

コンバットハイカーは日本にも相当数入ってきていて、街履きにはちょっとツラいレベルの状態の個体であれば比較的安価に容易に調達できる印象です。
ダナー製なので頑丈だと思いますし、ソール剥がれの話は聞いたことはないので、いい感じのODAでの使用例を確認できれば欲しいとは常々思っていました。

陸軍に支給されていたのは確実なはずなので、当然ODAも履いていてもおかしくないとは思っていたのですが、この度ようやく明確な使用例と思われる写真を発見できました。
コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

下記記事によると、20th SFGのあるODAの集合写真のようです。
https://sofrep.com/news/technology-hurts-special-forces-mission/

プロが書いている記事のようなので、そこいらのフォーラムや掲示板にあるような記述より信憑性は高いと思います。
ちなみに記事の内容は超斜め読みですが、ざっくり「戦争はハイテク兵器投入するだけじゃなくて、グリーンベレーのように現地で泥臭く活躍している部隊がいるんだよ」的な内容だと思います。
この写真の前列左から2番目のM14EBRを持っている隊員がコンバットハイカーを履いていると思われます。
コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

ソールとつま先を覆うラバーの色差、ラバー部とシューホールとの位置関係から当靴だと判断しました。
以上から、この写真がODAでのコンバットハイカーの使用例であると判断しました。

次に、大事な年代分析です。
記事自体は2016年の物ですが、写真はもっと古い物だと思います。
全体的にウッドランドにSFLCS中心の装備を着ており、よく見るとマルチカムのポーチを着ている隊員がいたり、M4もガチガチのBlock2な事から、おそらく2000年代終わり~2010年代頭くらいだと思います。
私がグリーンベレー装備に本格的に興味を持ち始めたのはこの頃に近く、当時はウッドランド+カーキ装備と言えばこの写真のようなグリーンベレーが代名詞だったと思います。
なので憧れの装備ではあるのですが、今では「ウッドランドと言えばMARSOC」になってしまったので、差別化の為に初期アフ装備以外ではUCPやマルチカムを着がちです。
近年ではMARSOCはマルチカムも着ているので、どんどん混同していきますね(苦笑)

一方で、コンバットハイカーはいつ頃から登場したか?調べてみました。
いつものように、Google先生の期間指定検索を実施しました。
お店や個人のブログを調べる限り、日本で普通に小売店で入手できるようになったのは2010年初夏頃のようです。

もうひとつ気になる記事を発見しました。
URL:https://www.just-style.com/news/lacrosse-footwear-wins-20m-army-boot-order_id102557.aspx

「ダナー(の親会社?のラクロス)が200万ドルで陸軍ブーツの受注を勝ち取った」という見出しです。

会員登録しないと読めない記事ですが、かろうじて読める本文最初の2行を読む限り「コンバットハイカーブーツを2009年第1四半期に大部分を納入する予定」とあります。
文中の「コンバットハイカー」がダナーの商品固有名詞を指しているのか?ブーツの一種類としての表現なのかは明確ではありません。

2020/11/19追記
ブラウザだと読めなかったのですが、スマホだとなぜか普通に記事全文読めました。
どうやら文中の「Combat Hiker」は「軍用行軍靴」的な広義の意味合いではなく、ダナーの商品固有名詞を指しているっぽいですね。
ビブラムソール採用という記載等も実際の製品仕様と矛盾していないです。


仮にコンバットハイカーそのものだとすると、米軍納品と同時に市販できる契約だったと考えると、米軍初期納入分を生産後、民間向けに生産し米国で販売開始、その後日本人が存在を知って輸入し始め、一般的なファッション誌等が取り上げ始めたのが2010年春過ぎ頃。
と考えると上記のGoogle検索結果と辻褄が合ってくるかなと思います。
従って米軍でコンバットハイカーが使われ始めたのは上記の記事にもある通り、2009年前半からと考察しました。
今回見つけた20th SFGと思われる写真も、上述したように装備的に2010年前後と思われるので、ここも矛盾しません。

というわけで、私の中で2010年以降であればグリーンベレー装備でコンバットハイカーは有り、となりました。
グリーンベレーかどうか分かりませんが、明らかにこの数年後と思われる写真でも履いていると思しき写真があるので、2012年にダナーが倒産したタイミングでおそらく廃版にはなったのだとは思いますが、結構息が長いアイテムと言えるかもしれません。
コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

コンバットハイカーを履いたグリーンベレー

2010年以降は私の中ではストライクゾーンから若干外れているので入手優先度は高くないですが、チャンスがあったら調達しておきたいアイテムです。
でも支給品なのに履いている人をあまり見かけないのは、余程支給量が少なかった(コスト高い、メーカー経営要因等)か、現場で不評で皆他の靴を選んでいたか、といったところでしょうか。
仮に一足2万円で納品されたとすると、初契約の200万ドル=約2億円で、単純に1万足程度は納品された計算になります。
2011年頃はアフガンだけで10万人規模派遣されていたようなので、もし後続ロットが無ければそれなりに希少な靴だったのかもしれないですね。
いずれにせよ、有名で日本でも現在入手はしやすいですが、米陸軍特殊部隊装備の鉄板とは言い難い靴なのかなとは思います。

お読みいただきありがとうございました。




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2020年11月18日 Posted by 4039  at 18:34 │Comments(2)フットウェアミリフォト

この記事へのコメント
 突然失礼します。
COMBAT HIKER を探している過程でここにたどり着きました。
色々な記事を見ていると米軍に納入したのはDANNER がメインのようですがその他にBATESも全く同じスペックのものを作っていたようです。
アメリカ市場ではCOMBAT HIKER の民生品であるCRATER RIM というDANNERのトレッキングブーツよりサープラスもののCOMBAT HIKER方がはるかに安いようです。
BATES - 3400
https://www.amazon.com/Bates-Mountain-Goretex-Weather-Military/dp/B00A53FPYS/ref=sr_1_1?dchild=1&keywords=BATES%2B-%2B3400&qid=1618072891&sr=8-1&th=1&psc=1

因みにDANNERのブランドホルダーはabcマートですので日本では人気の高いCOMBAT HIKERを、アメリカではCRATER RIM を販売としているようですね。
https://store.stumptownjapan.com/shop/g/g5614860001018/?affiliate=danner

COMBAT HIKERも製造から10ー12年経過してソールの接着が剥がれたものも報告多数ですので値段は高いですがこちらを狙った方が良さそうです。
Posted by BO at 2021年04月11日 01:53
貴重な情報ありがとうございます。
民生バージョンはCRATER RIMという名前なんですね。
そしてソール剥がれもやはり起こっているんですね。
DANNERがちゃんと修理対応してくれれば問題無さそうですが、もし調達するならその辺りをしっかり押さえておいた方がよさそうですね。
大変勉強になりました。
色々とご教示いただきありがとうございました。
Posted by 40394039 at 2021年04月12日 11:18
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