56式弾帯カスタム 初期アフ風味

56式弾帯カスタム 初期アフ風味

このブログをご覧になる方であれば必ず見た事があるであろう、56式弾帯について書きます。
中国軍が56式自動歩槍とセットで採用したチェストリグですね。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

ちなみに中国語では56式弾袋や56式胸挂袋、56冲携行具みたいな感じで、色々な呼び方をされているようです。
「沖(チョン)」は「激しい」や「猛烈な」という意味の形容詞なので、「アサルト」的な意味合いだと思います。
逆に日本で馴染みのある「56式弾帯」と記載されているところは私は見たことが無いです。
「袋」が中国語発音で「ダイ」、「帯」も「ダイ」で、四声(中国語のイントネーション)も全く同じなので、中国語で「56式弾袋」と聞いた日本人が「袋」を「帯」と取り違えて日本で広めたのかもしれませんね。
ミリタリー仲間が集まった時のトリビアとしていかがでしょうか?

袋だろうが帯だろうが発音は同じなので、中国人のミリオタには「ウーリィウシューダンダイ」と言えば通じるはずです。
イントネーション間違っていると、「はぁ?」と聞き返される可能性大ですが(苦笑)
余談ですが、地方柄はあるかもしれませんが、私の居る広東省の人は聞き返す時に、日本人同士だったらケンカ売ってるのかと言うレベルで顔をしかめてor真顔で「はぁ?」と聞き返してきます。
当然ケンカ売る気なんてゼロで、「ごめんなさい、今聞き取れなかった」という意思表示です。
すごく礼儀正しい部下でも親切な店員でも、聞き返す時は冷徹に「はぁ?」と言って来るので、慣れるまでは毎回胸を抉られる思いをしました(笑)

本題に戻ります。
数字の通り1956年(多分)に採用された旧い装備ですが、膨大な数が輸出されたようで、ベトナム戦争や各種紛争地、2000年代に入っても各地で使用が確認されている息の長い装備ですね。
初期アフ時期の米軍特殊部隊も多く使用していたのは有名ですよね。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

56式弾帯カスタム 初期アフ風味

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当時米軍が開発した最新ギアを差し置いて、何故50年近くも前のアジア製のコットン装具が愛用されたのでしょうか。
個人的には下記が他のギアに比べて56式が優れている点だと考えています。
1.軽量で着脱が簡単
2.必要十分な物を集約して携行出来た
3.胸部前面に汎用性の高いポーチが配置されている。
4.無くしても壊してもお咎め無し(?)

今もそうですが、米国製等の多くのギアはファステックス等のバックル類で着脱する部分がありますよね。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

ただ、ファステックスは1.5インチくらいの小型のファステックスだと、グローブをしていると意外と外しづらいですよね。
加えて、割れたりして破損してしまうと機能を失ってしまい、補修するにはストラップの縫ってある部分を解いて新品に交換し縫い直さなくてはいけません。
その点56式は、ただ上から被って肩に紐を引っ掛けるだけで装着完了です。
背中に回す紐は料理用エプロンと同じように結ぶだけです(笑)

縫い目や生地の耐久性は一流ギアメーカーの物に比べれば脆いですが、一朝一夕で簡単に壊れるものではありません。
無論ポーチ配置は固定ですが汎用性はそこそこ高いですし、56式では不便する場合は違うギアを選択すればいいだけの話ですね。

あとは胸部前面に大型のポケットが来るギアが、米軍装備では意外と少なかったのもあるのかなと考えています。
BHIのコマンドチェストやTAC-TのMAV 1P等は56式の上位互換ギアと言えそうですが、大々的に投入されている印象は無く、一部の隊員しか持っていなかったのかなと思います。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

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米軍官給品だとSDS製RACKあたりがメジャーでしょうか。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

ただRANGER向けの装備なので、グリーンベレーではほぼ使用例を見かけた事はありません。
下写真は2003年の20th SFGの隊員ですが、この方が着ているRACKはBHI製のようで官給品というわけではなさそうです。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

SDS RACKは初期アフの頃は黒ファス仕様と呼ばれる旧型で、現状ではあまり見かけません。
BHI製は更にレアな印象です。
更に上を行くパラク製RACKはお宝レベルですね。

56式は現地に溢れていたと想像され、本国からわざわざTAC-TやBHI製ギアの輸送を待たずにすぐに調達できて便利だったのかもしれませんね。
壊れてもすぐに安価で新しい物が手に入ったでしょうし、自腹で調達すれば壊したり失くしてもいちいち報告しなくてよかったのかもしれないですね。

2001~3年頃の初期アフグリーンベレーであれば、ELCS、TLBV、LC-2のYサス+ベルトあたりが官給装備として持ち込まれた代表的なギアだと思われます。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

56式弾帯カスタム 初期アフ風味

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どの装備も前開きで、基本的に腰周りに携行品を集中させる設計です。
これはハンビーや民間車両等での移動の際に不便だったと思います。
乗り降りの際に引っかかったり、座席との干渉もあったと思いますので、いちいち着脱が必要だったかもしれませんね。
サバゲ場でセーフティーの座席に座る時も厄介ですよね。
対して56式は胴体前面にしか積載物が来ないので、引っかかったり座る際に干渉したりしないです。
この辺りが最新ギアを差し置いて56式が多用されていた理由なのかなと、当時のギアを色々収集して実際に着用してみて感じた私の見解です。
PRC-148がデフォルトでシンデレラフィットするのも都合がよかったのかもしれないですね。
あとは現地の兵士と同じ装備をすることで、偽装効果や現地部隊との一体感を高める狙いもあったかもしれません。

56式弾帯カスタム 初期アフ風味

しかし、56式そのままでは不便に感じた隊員もいたようで、カスタムされた個体も時々見かけます。
上写真隊員は一番左のグレネードポーチを撤去し、おそらくTAC-Tの3連マガジンポーチを縫い付けているように見えます。
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他の装具はレッグホルスターとOTVだけでシンプルですね。
これなら車両に乗る際も楽そうです。

下写真の右の隊員はマガジンポーチのフラップを裏側に翻しているか、もしくは切除していると思われます。
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1つのポケットにM4マガジンを2本入れるとかなりギチギチになるので、フラップが無くても落ちたりはしなかったんですかね。
ただし1本抜くともう一本は前かがみになるとスルっといっちゃいそうですが、どうしたんでしょうね(苦笑)
左と右のポーチ前面になにやら黒い物体が付いていますが、ピストルマガジンポーチを縫い付けているのかな?と思われます。

これは同じ56式でも56式半自動歩槍(SKS)の方のチェストですが、フラップを木のボタンからドットボタンに変更していますね。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

膨らみ方から見るに、40mmグレネード弾でも入っているんですかね?

56式自動歩槍の弾帯でも同じようなカスタム事例を見かけますね。
これを真似て私も63式チェストをドットボタンカスタムしてみました。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

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56式半自動歩槍チェストも手に入るのですがサバゲで使い道がないので、M4やAKマガジン、無線機が携行出来る63式でやってみました。
ボタン本体と簡単なカシメ道具さえあれば、ドットボタンカスタムは子供でも手軽にできます。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

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10分程度の作業で使い勝手向上しますので、おススメなカスタムだと思います。
ちなみに63式チェストは800円くらい、ドットボタンは100個以上セットで300円くらいでした。
流石と言いますか、こういう物は中国は異常に安いですね。
中華チェストが爆安でよりどりみどりだったので、気づいたら一気に増殖していました(笑)
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

全部合わせて3000円いくかいかないかくらいでした。

中華チェストは生地も糸も切りやすく針も通り易いので、現地で隊員個人でチクチクとカスタムしていたんだろうなと想像しています。
そんな中、ひと際私の心に刺さった56式カスタムを見つけました。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

お茶を汲んで回っている心温まるアフガン少年の写真ですね。
ほっこりしながら上の方を見てみると、コップを持ったODA隊員と思われる方の姿があります。
彼の56式ですが、よく見るとフラップが興味深いです。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

ベルクロ式に変えているようですが、ポーチ前面とフラップ前面にメスを縫い付け、両者に跨るようにオスの帯を貼っているようです。
普通にポーチ前面にメス、フラップ裏側にオスを縫い付けた方がスマートなのに、なんでわざわざこんな形式にしたんでしょうかね?
ただちょっと変わったセンスの持ち主だったのか?PRC-148のようなAKマガジンより長い物を入れてもフラップが閉じられるように調整幅の大きい構造にしたのか?想像が膨らむカスタムですね。
普通に考えたらこの縫い方は思いつかない感じが非常に面白かったので、56式チェストを調達して再現してみました。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

56式弾帯カスタム 初期アフ風味

56式弾帯カスタム 初期アフ風味

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56式チェストも流石は産地直送と言いますか、新品デッドストック品が800円程度でわんさか売ってます。
程度の悪い物であれば送料込みで200円で売ってます。
儲かる気あるんでしょうかね?(笑)
拘りとしては中国製のどこの馬の骨とも分からぬパイル&フックではなく、ちゃんと正品の「ベルクロ」を調達しました。
縫い付けは現場にミシンは無かったでしょうし、両面テープやダクトテープでは流石に固定力に不安が残るので、手縫いで仕上げました。
以前入手した隊員カスタムBALCSもぐちゃぐちゃの縫い目で、おそらく隊員本人か、もしくは村の少年少女に小遣いでも渡して縫わせたのかと想像させるようなハンドメイド感たっぷりの縫い目でした。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

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その辺りをオマージュして縫い針と黒い糸で手作業で荒々しく縫い付けました
黒いベルクロに黒い糸だと、縫い目が見えないのでどんなに粗くてもまったく気にならないです。
作業のコツなんてものは皆無で、ビール片手にテレビを見ながらひたすらチクチク縫いました(笑)
唯一ちょっと工夫というか注意が必要だったのは、ポーチ側の生地は防水生地が張られていて比較的分厚く、針が通りにくかったです。
太い針よりも程よく細い針の方がスッと入って楽だったので、もし56式を手縫いカスタムされる方は針を複数種用意して、丁度良い太さを探すといいと思います。

時間はそれなりに掛かりましたが金は掛からず、見た目もそれらしくでき満足度は高いです。
ベルクロが余ったので、蛇足と思いつつももうひと加工してみました。
PRC-148を携行する際マガジンポーチに入れてしまうと、マガジン携行数が減ってしまいます。
M4の場合だと4本、AKだと2本しか持てなくなります。
サバゲではちょっと不足気味ですので、グレネードポーチをいじってラジオ収納にしました。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

グレネードポーチの底を切り抜き、そこにベルクロをわっか状に通して底を延長してみました。
実戦投入して見ないと分かりませんが、重たいTCA148を入れて試着する限りでは特に問題なさそうです。
ちなみにTCA148は旧型アンテナレプを装備しました。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

PRC148はTNCという規格のアンテナが適合し、TCA148も同規格です。
このTNC規格の旧型アンテナのレプリカが1500円くらいで売っていたので買って着けてみましたが、ちゃんと機能しました。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

本物と同じ文言かはわかりませんが実物と同じ位置に刻印も入っていますし、日本でも3000~4000円くらいでよく見かけるので、実物取り付け部を再現している旧型アンテナレプとしておススメだと思います。
がらんどうレプのアンテナよりコシがあっていい感じです。
あとは液晶画面のBB防弾対策も施しました。
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1.5mmのポリカーボネート板を液晶部の窓枠の形に切り出しはめ込みました。
ほんの少しだけ圧入気味にしたことで、普通に使っていて外れることは無く、外したい時は針等で刺して引っ掛ければ簡単に外せます。
ポリカ板は安いので、傷付いたらまた作り直せばいいだけですね。
ハサミと紙やすりがあればすぐに出来ます。
これで絶対大丈夫かは試していないので不明ですが、何もないよりは格段に防弾性は上がっていると思います。

一応下記写真のように、無加工のグレネードポーチに強引にPRC-148をぶち込んでいる実例もありますが(もしかしたら本体は腰で、見えてるのは延長アンテナとヘッドセットだけかも?)、BALCS等の硬めの物を下に着こんでいないと安定しなさそうですし、普通に邪魔じゃないかなと思います(苦笑)
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少なくともサバゲのような動きをする上ではかなり邪魔になりそうですね。
ついでにガーミンのGPS38やBHI風3dayパック等の小物も揃えてみました(3Dパックはまさかの1200円!)。
56式弾帯カスタム 初期アフ風味

全て中国現地調達した物でそれなりの初期アフ装備ができそうです。
ちゃっかり付けヒゲも調達したので(笑)、今度暇な時に全部装着して装備記事書いてみようと思います。

お読みいただきありがとうございました。




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2021年11月02日 Posted by 4039  at 20:53 │Comments(0)装備初期アフガン

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